A mother likes very much.

・コーデリアifのベアトリクス成り代わり。シュウ、レイジ前提の逆巻兄弟+ユイちゃん夢。
・夢主は料理下手な設定にしてます。
・ユイ→ライト→ユイ目線







「これは一体どういうことですか」

目の前のレイジさんは青筋を立てていた。これはかなり怒ってるサインだ。
なぜこんなことになったのかというと、それはシュウさんとレイジさんのお母さんであるユリアさんと私が料理をしていたら何故かキッチンが大惨事になったからである。普通に料理をしていただけなのに何故? あ、でもキッチンに立つユリアさんは初めて見た気がする。ユリアさんが私に『一緒に料理を作りたいんです』と言ってきたためだ。

「ごめんなさいレイジさん」

「悪いのはユイさんじゃないのよ、私が料理をしたいと言っただけで、多分私のせいです」

「母上、私が言ったことをお忘れですか。あれほどキッチンに立つなと言ったはずです」

「ごめんなさい」

ユリアさんは悲しそうな顔をしてレイジさんに謝った。

「まったく。母上、料理をしようとするとこうなることは分かっていたはずでしょう?」

「……はい」

「そこまでにしとけよ、レイジ」

しょんぼりしていたユリアさんを庇うようにキッチンに入ってきたシュウさんがレイジさんにそう言った。

「ごくつ……シュウ。貴方も見たことがあるでしょう、あの惨劇を」

「母さんは別にあんなことをするために料理をしたわけじゃないだろ」

惨劇って…… 一体何があったのか知りたい。そしてレイジさん、シュウさんを穀潰しと言う前に訂正してた。多分ユリアさんがいるからだろう。

「本当にごめんなさい、……片付けを」

「これ以上被害が出ては困るので母上は手を出さないでください」

そして、レイジさんは私に片付けを手伝うように言った。

「そう、……ですね。ユイさん、ごめんなさい」

シュウさんに連れられてキッチンからユリアさんが出ていくとレイジさんが私に話しかけた。

「次に母上に頼まれたら、まず私に報告しなさい。今日は偶然通りかかったから良かったものの、母上に何かあっては心配です。一応貴女もです」

一応……。
でも、ユリアさんにあんなきついことを言ったのは心配してたからなんだと思った。ちゃんとお母さん想いなんだとその時に私は知った。










――リビング


リビングでアヤトくんやカナトくんと話してたらシュウとユリアさんが入ってきた。相変わらず眠そうな顔をしたシュウと、いつもとは違うしょんぼりとしたユリアさんがいてちょっとビックリ。

「あれ〜? 何かあったのシュウ」

「少しな」

泣きそうになっている女の子を虐めるのは好きだけど、相手がユリアさんだとそうはいかないからシュウに事情を聞いた。
「ごめんなさい」

消え入りそうな声を出したユリアさんは今にも涙が出そうなくらい悲しい顔をしてた。あ、これマズイかな。

「どうせシチサンメガネになんか言われたんだろ」

アヤトくん空気読んでよ。

「大丈夫ですか。テディも心配しています」

ユリアさんのそばに行ったカナトくんはテディの手を持ってユリアさんにそう言う。うん、カナトくんそれだよ。

「そうそう、ユリアさんは悪くないんでしょ〜?」

「ですが、私は」「母さんは悪くない」

シュウはユリアさんをぎゅっと抱き締めて優しく言った。あれ……? なんかシュウのキャラ違くない? ま、いっか。

「悪いのは、…………スバルだ」

ガチャリ、とリビングの扉を開けて入ってきたスバルくんを見たシュウがそう言った。

「なわけねーだろっ!!!」

話を聞いていたのか、聞こえていたのか、スバルくんは全力で否定した。
うん、ボクもそう思うよ。

「スバルうるさい」

「あ、……悪い」

ユリアさんの状態を見たスバルくんはすぐに大人しくなった。というか、スバルくんに大声出させたのはシュウじゃ……。

「……上手くいくと思ったんです。ちゃんとレシピも見て勉強して、ユイさんと一緒にすればできると……。でも、やっぱり私は」

ジワッ、と涙を浮かべたユリアさんにボクを含むリビングにいる兄弟は慌て出す。なんとかしてやらないとボクたちは、

「私のユリアを泣かせたのは誰かな?」

ギギギ……とシュウ以外の全員が首を後ろに向けると、黒いオーラを纏いながらにこやかにそう言う、……父さんがいた。




――キッチン


レイジさんと片付けをしている途中、私はユリアさんが言っていたことを思い出した。

「あの、レイジさん」

「なんです」

キッチンのタイルに飛び散った黒いなにかを拭き取りながらレイジさんは答える。
「ユリアさんが言っていたんです。『あの子たちに少しでも母親らしいことをしてあげたい』って。だから私も手伝ったんですけど」

駄目でしたね……。と私は呟く。

「……あの女性(ひと)は。全く……、母親らしいことなんて、いつもしているじゃないですか」

「?」

「料理ができないにしろ、あの女性は勉学に精通して博識であり、尚且つ私たちをここまで育ててきたのは母上です」

それのどこが母親らしいことをしていないと言えるのですか。

レイジさんは本当にユリアさんを母親として誇りに思っている。それを知って私は顔が緩んでしまった。

「ふふ」
「何を笑っているんです」
「レイジさん、ユリアさんのこと大好きなんですね」

「なっ、……当たり前です」

顔を紅くしたレイジさんはメガネをクイッと持ち上げていた。照れ隠しのつもりだと思う。そして、可愛いと思ったのは私だけの秘密。


その後、リビングに行くと床に正座している五人とそれを見ておろおろしているユリアさんと、兄弟のお父さんであるカールハインツさんがいた。

「……これは一体どういうことですか」


レイジさん、それ二回目です。













@@後書き@@
・コーデリアifのベアトリクス成り代わり。シュウ、レイジ前提の逆巻兄弟+ユイ夢のはずが、カールハインツまで出してしまいました。ごめんなさい。だって、夢主の涙センサーがついてんだもん(おい)
・シリアスでありながらギャグをいれるのが最近の趣味です。
・しかし、とんだとばっちりだ。あの後レイジも正座させられたと思います。
・コーデリア成り代わりと違う設定を一つ入れたくて「料理下手」にしました。彼女が生成したものはダークマターに違いない……。




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