My home is always flooded with a smiling face.
無神兄弟の母親兼姉設定な夢主。
学校の廊下を歩き、迎えのリムジンに向かう無神兄弟は心なしか浮かれていた。それもそのはず、彼らの姉であるユリアが待っているからであった。
「急ぐぞ」
「そうだな、姉貴が待ってる」
「アズサくん早く」
「待って……」
脱靴所に行き靴を履き替えて校門前に停車しているリムジンに足早に向かう。さながら軍隊のようである。
もう少しで着く、その時に車のドアが開いた。
「早かったのね、みんな」
現れたのはプラチナブロンドのゆったりとした長い髪に翡翠色の瞳をした女性。無神家の母兼姉のユリアだ。
その顔には笑みが湛えていた。
「お姉ちゃんを待たせるのは駄目だもん」
へへっ、と笑いコウはユリアの手を取った。
「姉さん、……会いたかった」
ユリアに抱きついたアズサは頬に擦り寄る。
「ええ? 学校行く前に会ってたでしょう?」
「姉貴に会いたくてしゃーなかったんだろ」
「そう言うユーマも授業中は上の空だったろう」
「なっ!?」
ユーマはルキに指摘され顔を紅くした。
「あはは、ユーマくん顔真っ赤〜」
「るっせ!!」
茶化すコウにユーマが反応する。
その様子を見ていたユリアは嬉しそうに微笑んだ。この一連を見るに、彼らが姉である彼女をどれほど想っているのかがうかがえる。
「さぁ、帰りましょう? 帰ったら皆でご飯ね」
「そうしよう」
アズサが彼女から離れたところで、
ルキはユリアを先に車の中へ乗り込ませた。もちろん、彼女が頭をぶつけないように入り口の縁に手を添えてだ。
「ありがとう、ルキ」
「ルキくんてばずるーい、俺もそれしたかった」
コウは顔を膨らませて先ほどルキがしたことに文句を言った。
「じゃあ降りる時にお願いするわ」
「うぅ……、約束だよお姉ちゃん」
そして全員が乗り込むとリムジンがエンジン音を立てて動き出した。
無神家に着いた一行はリムジンから降りて屋敷へと移動する。もちろん車から降りる時にはルキがしたように、コウも頭をぶつけないようユリアを降ろした。
「今日は何が良いかしら。あ、スープはルキにお願いするわ」
「分かった」
「ユーマ、今は何が旬?」
ユリアはユーマに菜園にある野菜のどれが旬かを聞いた。
「あー、キャベツだろ、じゃがいもだろ、あと玉ねぎか」
「じゃあ昨日の残ったあさりとキャベツで蒸し煮にして、じゃがいもと玉ねぎでサラダを作りましょうか」
それを聞くと、ユーマは野菜を取りに行く為にそのまま菜園へ向かった。
「……美味しそう」
「何言ってるのアズサくん、お姉ちゃんの作るご飯は全部美味しいに決まってるでしょ」
「そうだね」
コウとアズサは嬉しそうに話している。
「もう、そんなお世辞言っても何もでませんから」
誉められて恥ずかしいユリアは少しムッとして答えた。ルキはそれを見て微笑むのだった。
所変わって食事部屋。人数分に並べられたカトラリーに皿、テーブルの中央にはキャベツとあさりの蒸し煮と新じゃがと新たまねぎのサラダがあった。そして湯気を立てる温かいオニオンスープが食欲をそそる。
ぐぅ〜、という音を聞いたユリアはふふっと笑う。どうやら弟たちのお腹の虫が待ちきれないようだ。
「もうお腹ペコペコ。お姉ちゃん、食べよう」
「そうね」
「ほんっと旨そうだぜ」
「……うん」
「では、いただくとしよう」
ルキのその言葉を皮切りに、皆は手を合わせ、声を揃えた。
「「「「「いただきます」」」」」
無神家は今日も平和である。
@@後書き@@
・お姉ちゃん大好きな兄弟にできたか不安ですけど大丈夫ですかね……。
・見た目はほわほわしたお姉さんだけど中身はしっかりしてる夢主。
・食べ物の話を入れたらお腹が空いてきた。
・無神家の食事ってなんかワイワイしてそうで良いな。そしてルキくんのスープ飲みたい。
・リクエスト数の都合上、続編を書くことが出来ずに申し訳ないです(;>_<;)
prev mokuji next