Elder brother's jealousy
アズサ成り代わり
・兄弟がやきもち
・キャラ崩壊(主にルキ)
「あれ? ユリアちゃんは?」
「見てねーぞ」
「外だと思うが」
無神兄妹のうち上の三人の兄はリビングにいた。
次男のコウが妹であるユリアがいないことに気付いて二人に聞くが、三男のユーマは見ていないと言い、長男のルキは外にいるのではないかと答えた。
「なーんだ、外か」
コウがつまらなそうに自身の腕を頭の後ろに持っていき、ソファーの背にもたれた。
その時、リビングの扉が開けられる音がした。
「ユリア」
「あ……、皆」
「よう、ユリア。お前どこにいたんだ?」
「え……、外、だけど」
この子がいたから。と、ユリアは腕の中に抱いていた猫を三人に見せた。
「猫?」
「うん、……怪我、してたから」
よく見れば後ろ足にユリアのしているものと同じ包帯がまかれていた。
「それで、……ルキにお願いがあって」
「なんだ」
ルキはユリアの願いを察するが、そう返事をした。
「……この子の怪我が治るまで、……ここに居させても良い?」
飼っても良いと言わないだけ、ルキはユリアに誉めてやりたいと思った。
「怪我が治るまでなんだろう?」
「うん」
「なら構わない」
「え、良いのルキくん?」
ルキの答えにコウが驚いて問いかけた。
「世話をするのはユリアで、尚且つ怪我が治るまでだ。何も不都合はない」
「にゃぁー」
「お、こいつ返事でもしてんのか?」
ユリアの腕の中にいる猫がルキの言葉の後に鳴いた為、ユーマは覗きこんでそう言った。
そしてルキは猫をユリアに世話させる許可をやったことを数日たって後悔する。コウとユーマも同じだった。
「ふふ、……くすぐったい」
ユリアの顔をペロッと一舐めした猫にくすぐったそうに顔を歪ませる彼女はどことなく楽しそうだ。
「やだ、もう」
「あいつ、またユリアに」
「猫の分際で……」
上の三人はその様子が気に入らないようである。
「早く、……怪我が治ると良いね」
頭を撫でると気持ちよさそうに目を閉じて猫は鳴く。
「あーっ、悔しい!! 俺もユリアちゃんに撫でられたい」
「お前気持ち悪い」
「はあ? ユーマくんユリアちゃんに嬉しそうな顔で撫でられたくないの?」
「いや、なんっつーか、撫でられるより撫でる方だからな俺は」
「もうユーマくんったらお兄ちゃんすぎ!!」
「でもよ、あの猫はムカつくな」
「そうか、ユーマもそう考えていたのか」
「ル、ルキくん……? 顔怖いよ!?」
長男の顔はこれまでにないほど怒りに溢れていた。
「あの黒猫を、俺がユリアに撫でられているというように脳内変換をしてみたが、やはり許せない」
「お前は何をしてんだ」
ドン引きして呆れたユーマはルキに突っ込む。
「……皆、なにしてるの?」
ユリアは三人がリビングの一角で話をしているのを見てそう言った。
「なんでもないよー」
「そうだぜ、ただの男同士の会話だ」
「そう……?」
「お前はその猫の怪我を早く治すように努めろ」
「うん」
頷いた彼女の顔はそれはもう嬉しそうで、三人は更にやきもちを妬くのであった。
@@後書き@@
・嫉妬する相手が浮かばなかったもので、猫にしました。
・しかしルキが一番気持ち悪い(書いたの私だ)
・黒猫だから自分に置き換えてみたけどやっぱり許せないルキくん。
・アズサ成り代わりだとただのお兄ちゃんに成り下がる三人。特にユーマ。
・こんなものでどうでしょうか。
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