Girl's wish doesn't come true.
コーデリア成り代わり
・逆ハー狙い主撃退
・話がややこしくなるので名前はコーデリアで固定してあります。申し訳ありません。




「ありえないっ!!」


突如として逆巻家に現れた少女はそう言って目の前のコーデリアに指を突きつけた。
「どうしてここにコーデリアがいるのよっ、おかしいわ、だってここ原作通りに……」

少女は何故コーデリアがここにいるのかを不思議に思っていた。神様にDIABOLIK LOVERS の世界に行きたいとせがみ、逆ハー補正まで強請った少女。原作通りに、しかも小森ユイが主人公ではなく自分を主人公にしてほしいとまで願ったのに。どうしてか小森ユイは存在している。

「そう、これは何かの手違い……」

手違いなら何故コーデリアがここに存在している? 少女はもう一度彼女を見た。

「あの、……あなたは誰?」

それはこちらのセリフだ。と少女は思う。よく見たらコーデリアと目付きが違い、泣きホクロがある。そして服装だって原作と違い露出が控え目。一番違うのは彼女の纏う雰囲気だ。あの女王様気質はどこにも見当たらず、まるでベアトリクスのような気品と淑女溢れるものがあった。

「まさか、あんたも?」

少女は目の前の彼女が自分と同じであるのではないかと思った。

「? 言っている意味がよく分かりませんが……」

「何をとぼけてんのよっ!! あんたコーデリアに成り代わってシュウやレイジやアヤトやカナトやライトやスバルに取り入ろうとか考えてんでしょ?」

そんなこと許せない。 少女はわなわなと体を振るわせた。

「……い、……ない……許せない許せない許せないっ!!」

「!?」

少女は近くにあった燭台を手に取り彼女に向かって振り上げた。
コーデリアは目を固く閉じて痛みに耐えようとする。しかし与えられるはずの痛みはやってこなかった。

「テメェ、母さんに何してやがる」

地の底から聞こえるような低い声。

少女がコーデリアに振り上げた燭台を掴んでいたのはアヤトだった。その顔は怒りに満ちている。

「本当、本当。ボクのお母さんに何してくれてるのかな〜。死にたいの?」

「母様、大丈夫ですか? ああ、母様になんてことしてくれるんですかっ!! 許せないのはこっちのほうですっ!!」


ライトは軽い口調のものの、瞳は笑っていなかった。カナトはコーデリアを心配して抱きついた後に少女に向かってヒステリックに叫ぶ。

「な…、何で?……何で何で何で何で何でっ!?」

「……うるさい」

「!?」

少女は後ろに立っていたシュウに気付いて驚く。燭台から手は離されていた。

「ていうかアンタ誰」

「穀潰しと同じ意見なのは癪に障りますが私も知りたいですね」

シュウの言葉の後にレイジがそう言う。

「アンタは何で俺達のこと知ってる」

「あ、……あ、…そ、な」

気だるげな瞳が鋭く少女を睨んだ。

「お前、覚悟できてんだろうな?」

スバルも少女を睨んだ。しかし睨んだのは二人だけではない。他の兄弟も少女に殺意のある睨みを向けていた。コーデリアを守るようにして立つ姿はどう見ても原作とは違う、まったくかけ離れた景色が広がっていた。


「……なの、………こんなの私が望んでたのと違うっ!?」

「待てっ!!」


少女は逃げ出して出口を探す。あの場にいたら殺される、そう思ったからだ。震える体をいなすように少女は足を動かした。


「テメェ待ちやがれ!!」「んふ、鬼ごっこって久しぶり〜。たのし〜なぁ。追い詰めるのってだ〜いすき」

「殺してやりますっ!!」

三つ子の声が追いかけてくる。少女はさらにスピードをあげようとするも、目の前に現れた人物にぶつかって尻餅をついた。

「あっ」

「大丈夫だった?」

ぶつかってきたのは小森ユイだった。ユイは少女にそう言って心配そうな顔をした。

「た、助けて……」

蚊の鳴くような声でユイに助けを求める少女。しかしユイはその少女を見るだけだった。

「私が聞いたのはコーデリアさんが大丈夫だったってことだよ? 私はあなたのことを助けない。だって、コーデリアさんを傷つけようとしたんだもの」

ユイの目は笑っていない。少女は怖くなった。

「こんな、の……おかしい……、どうして」

「おかしいのはあなた」

「おいチチナシ、そいつ殺るのは俺様だ」
「アヤトくん」

「い、や……、嫌、嫌っ」

少女は殺されるという恐怖に支配され立ち上がることができなくなっていた。尻餅の状態の少女は後退りながら涙を流す。


「母さんに手ぇ出しといて生きて帰れると思うなよ」

「嫌あぁぁぁぁぁーっ!?」


少女は自分の悲鳴を聞いた後、視界がブラックアウトしていった。










@@後書き@@
・何故かラスボス感のあるユイちゃん。でもやっぱり最後はマザコンのアヤトが殺りました。
・書いてて思ったのは主人公の描写が少ないなと…… 空気になってごめんなさい。
・一度名前を分けて書いたのですが、どうもややこしいので名前を固定させてもらいました。
・逆ハー主はコーデリアだと思っているのでコーデリアと呼びますが、三人称で書くと名前がユリアになってしまってややこしくなるためです。

・こんな感じでどうでしょう。
・リヒター成代の続編が書けなくて申し訳ないです。(^^;)



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