The pitiful man fooled by a palm
・シュウ♀成り代わりでルキ相手
シチュお任せ・甘い話
今日は待ちに待った彼女とのデート。下調べをして予定もきちんと決め、さあ行こうと勢いこんだ俺を待っていたのはめんどくさい顔をした彼女。……逆巻の長女であるユリアだった。
俺のスケジュールを無視し、『動くのめんどくさいから』と彼女は俺を家に呼んだのだった。
「大体、ヴァンパイアだってこと忘れてるだろアンタ。日中は寝てるに決まってる」
失念していた。彼女はヴァンパイアだ。俺は元人間だったから日中に外に出ていたことを今さら気付いた。どれだけ浮かれていたんだ俺は。
「ふぁ……、眠い」
俺がいるのにも関わらずベッドの上で横たわっている彼女はあくびをして眠そうに目をこする。
「……今日はユイがいないから抱き枕がない」
「は?」
「だから、抱き枕がない」
「それがどうした」
「参謀の癖にそっちには頭は働かないわけ? ……めんどい」
ユリアはそう言って体を起こした。そしてベッドの縁にいた俺に近づいた。
「アンタは、私が何で家に呼んだか分かってない。仕方がないから教えてやる」
俺の両頬を彼女の手が包んだ。そしてユリアは顔を近づけた。
「んむ……、ちゅ」
「!?」
「ん……、」
彼女が俺にキスしていることを理解するのに時間がかかった。あの、自分から動かずに他人が動くまで待つ彼女が自らキスしてきたのに驚いたからだ。
彼女は両頬から手を外し、背中に腕を回していた。
「っはぁ……、ん。」
体が熱い。彼女と重なった唇もだが、冷たい体が熱を帯びはじめている。
受け入れるだけでは性にあわない。俺も彼女を抱きしめて、舌を入れようとした時にユリアは唇を離した。
「これで少し暖かくなったか」
「ユリア」
「何? なんでそんな顔してんの、私は抱き枕がないから冷たいアンタを暖かくして抱き枕にしてやろうとしただけなんだけど」
な、んだと……!?
「ふ、ふざけるな……俺がどんな思いで」
「ちょっと、……重いんだけど」
憤慨した俺は彼女をベッドに押し倒して上に被さった。彼女はさもめんどくさいというような顔をした。
「そんなに暖かい抱き枕が欲しいのなら、俺ものってやる」
「ふ……、願ったり叶ったり」
やはり俺はヴァンパイアと言えど彼女の手のひらで踊らされる一人の男に過ぎなかったようだ。
ベッドのシーツに流れるような金髪をひとすくいして口付けると、ユリアがそれはもう魅惑的に、碧い瞳をこちらに向けて口元を歪めた。
@@後書き@@
・なんぞこれ(^^;)
・甘い話(シュガーちゃん何個分だろうな)
・アダルティーな長女と長男。
・どっちも頭良いけど夢主(というかシュウには)勝てないと思う。自己解釈
・たぶんルキとデートになったら下調べとかスケジュールとかきっちりなんだろうな……→シュウだと、彼女が考えるけど計画倒れになる気が……。
→だったらいっそお家デートにしてしまえ。という感じで出来た産物です。
ごめんなさい。
楽しんで読んでいただければ幸いです。
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