The cute persons who feel jealous
コーデリア成り代わり
※視点がころころ変わります
アヤトside
チチナシがこの家にやって来てから、母さんは俺に構うことが少なくなった。もちろんライトやカナトも同じだ。つーか一人だけとかありえねぇ。母さんはいつだって俺たちを同じように愛してくれたんだからな。ったく、チチナシの分際で俺様の母さんを独り占めとかムカつくぜ。後でぜってぇー、シめる。
カナトside
母様はいつだって僕のそばにいてくれた。アヤトやライトもいつだって一緒だった。それがほんの少し嫌でした。それでも母様は分け隔てなく僕たちに接してくれるので気にするのは止めました。でも、この間きたばかりの彼女は母様を独り占めした。この事実は許せません。もちろん母様ではなく彼女がです。父様を除いて、母様が誰か一人だけを贔屓するような女性(ひと)ではないことは揺るぎない事実ですから。ああ、母様と楽しそうに話している彼女が妬ましいです。
ライトside
も〜、ビッチちゃんったら、ボクのお母さんに話しかけられて嬉しそうな顔しちゃって。そりゃあボクもお母さんに話しかけられたら嬉しいよ? でもボクの……ボクたちのお母さんなんだからね? お母さんは特定の人物にだけ愛情を向けてる訳じゃない、だからボクたちも嬉しいんだ。でも少しくらい贔屓してくれても良いのに、な〜んて思ったり。でもでも、お母さんはみんなのお母さんだから仕方ないよね。んふ、ボクってばやっさし〜。今すっごくお母さんに頭撫でられたい気分。ビッチちゃんとのお喋りでもお邪魔してこようかな。
ユイside
この家に、……逆巻家に初めてやって来た時はどうなっちゃうのか不安だった。自分たちが『ヴァンパイア』だと言ってきた彼らに迫られて困っていた時に、彼女は現れた。彼らの名前を呼んで動きを止めたどころか、床に正座をさせてお説教をしている所を見て、なんだか彼らが普通の人たちに見えて笑ってしまった。そしたら彼女がハッとして、顔を紅くさせ『ごめんなさい』と言ってきたのが可愛いと思った。そして彼女は彼らの、主に三つ子のお母さんなのだと知った。三つ子と彼女を交互に何度も見てしまったことは記憶に新しい。よく見たらアヤトくんとライトくんの瞳の色は彼女と同じだし、カナトくんは彼女と同じ紫色の綺麗な髪をしている。
優しく微笑みながら『今日からここが自分の家だと思ってくれても構いませんよ』と言ってくれたことに安心してしまう自分がいた。お父さんしかいなかった私はそこで初めて「お母さん」という存在に暖かさを感じた。
「ユイさん? どうかしました?」
ふふ、と笑ってしまった私に彼女はそう聞いてきました。
「あ……、いえ。私にもお母さんがいたらこんな感じなのかなって思って」
彼女が私のお母さんだったら良いのに。そう思っていると、彼女は口を開いた。
「ユイさんが良ければ、私がユイさんの母親になってあげますよ?」
「え!?」
私は吃驚してそんな声を上げた。
「実は女の子も欲しかったの。ユイさんがアヤトかカナトかライトと結婚してくれれば嬉しいわ」
もちろんシュウさんやレイジさん、スバルさんでも良いのよ?
彼女がそう言うと、ガタ、ガタンッ!! と大きな音がした。そして一斉に部屋に入ってきた彼らは、
「「「「「「却下!!」」」」」」
と声を揃えたのだった。
end……?
@@後書き@@
・六人全員は無理なので三つ子に絞りました。すいません(^^;)
@@おや?@@
「カールハインツ様」
彼女が私の名前を呼ぶ。
「……」
しかし私は答えない。
「……あなた」
呼び方を変えて彼女はもう一度私を呼ぶ。
「……」
違う。私が呼んで欲しいのは……
「カール」
そう。それだ。
「ん」
私は彼女を引き寄せ腕の中に閉じ込め肩に顔を埋めた。
「どうしたんです、今日は」
優しく私の髪を撫でる彼女が愛おしい。愛おしい故に息子たち、そしてその花嫁として送り込んだ小森ユイに嫉妬してしまう自分が情けない。
「ふふ、カールは心配性ですね。……大丈夫ですよ。貴方が私の、私だけの一番ですから」
彼女の言葉は私の胸にストンと落ちた。
「……そう、か。お前も私だけの一番だ。愛しているよユリア」
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