It's only I to make you only mine.
◇シン成り代わり2


いままで英国にいたせいか、日本に戻れてものすごく嬉しいとユリアは感じた。
元が日本人であったし、英語もあまり得意ではなかった為にユリアはまったくと言って良いほどカルラ以外とは喋らなかった。
喋ると言えば、ユリアはよく狼達と話をしていた。無表情であれど、彼女は楽しそうにしていた。狼に笑顔を向けるのは自殺行為。狼達にしてみれば威嚇されているのと同じだからだ。
幼い頃は時折、狼の姿になっては彼らと遊んでいた。今はそれが見られないのだと兄であるカルラは少し不満だった。
そして今、幼い頃から彼女に恋愛感情を抱いていた彼の不満はついに限界に達しようとしていた。




「おい、アンタ」

「は?」

ユリアを探していたカルラの目に入ったのは彼女と逆巻家長男のシュウだった。

「俺のところにこいよ」

「あ、え……あ、アイドントスピークジャパニーズ」

「なにそれ、アンタ本当に英国校から来たわけ?」

「う、……あ、I have come from a British sister school.……SoI'm the true British.」

目を泳がせながらユリアは答えた。教えた事を思い出しながら言っているのを見て少しだけ誉めてやりたいとカルラは思った。
日本語が話せる彼女だが、英国で人間と関わることをしなかった為に人付き合いが上手くできなくなった。それを利用したカルラは、話しかける人間がいた時は彼女に簡単な英語を喋らせた。

しかし、逆巻シュウは人間とは違う。始祖ではないにしろ、彼は同じヴァンパイアだ。

「……I heard that I could speak Japanese.The word which seems to have been informed someone about.Are you possibly your elder brother?」

『あんた、日本語話せるって聞いた。まるで誰かに教えられたみたいな言葉だな。もしかしてお前の兄?』


訳にするとこうだろう。しかし彼女は話せても意味は理解していない。

「すみませんが、日本語でお願いします」

彼女は折れてそう返してしまったのだ。

「So I'm the true British. ……『私は正真正銘の英国人』だなんてよく言えたな」

「……そう教えられたものですから」

苦々しげに答えたユリアは下を向いた。

「へぇ、やっぱあいつか」


「!?」

「じゃあ変わりに俺が教えてやる」

突然近づいてシュウは耳元で囁く。いくらヴァンパイアと言えど、カルラには聞こえない。

「ほら、言ってみろよ」

「ぷ、Please make me only yours.」

「いいぜ」

「え?」

意味は知らなくてもいいと言った自分が愚かしい。見ていられなくなったカルラはシュウに掴みかかり、ユリアから引き離した。


「は、やっとお出ましか」

「貴様にユリアは渡さない」

「さっきの聞いてなかったのか? そいつの口から聞こえただろ」


「ユリアは貴様に言われた言葉を言ったまでだ。意味を理解している訳ではない」
「に、兄さん、ごめん」

「お前を私だけのものにするのは私だけだ」


シュウとの会話を早々に切り上げ、家に連れ帰ってからカルラが彼女を離そうとしなかったのはまた別の話。









@@後書き@@
英国校にいたことから英語を多用してみたのですが、難しい。
けも耳+尻尾の成り代わり主がみられなくなって不満。
英語を話せないから自分と狼としか話さなかった成り代わり主が日本校に来たことで自分以外と話せる環境になったことに不満。成り代わり主に言い寄る逆巻家長男に不満。
顔には出さないけど不満が募ったカルラ兄さんは暴走しました。

Please make me only yours.は
『私をあなただけのものにして』と言っているんですが、成り代わり主も気づけよ。どんだけ英語嫌いなんだ(^^;)

『自分だけのものにする』となると狂愛という意味だったのでしょうか。まったく別物になってしまった気がします。すみません。返品・リテイクお受けします。

では、長々と失礼しました。
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