I, whose?

◇シン成り代わり


事の次第

はじめまして、月浪ユリアです。
今日は私のことについてお話したいと思います。
先程名前を言いましたが、あれは私の名前であって、名前ではないんです。
何を言っているか分からない?
では簡単に言いましょう。察しが悪いあなたの為に。
私は月浪シンに成り代わった一般人です。
彼についてはあまり知らないのですが、ムックによると、月浪シンは誇り高き始祖兄弟の、月浪カルラの弟。
始祖としてのプライドが高く、他のヴァンパイアを見下している。美しい血を好み、ナルシズムな発言も多い。普段は丁寧な言葉遣いだが、一度キレると手がつけられなくなる。三つ子と同じ二年生。
好きな食べ物はナッツ類全般。
趣味、暴力。
だそうです。
趣味が暴力だなんて、無趣味で物を壊す逆巻家末っ子より質が悪い。
おまけに眼帯だなんて中2病(爆ぜる現実、弾ける神経細胞ですか)。眼鏡のフレームは一体どうなっているのかが不思議でたまらなかった。まあ腰につけている尻尾の飾りは嫌いじゃない。現に今、もふもふしてるし。
可愛いと思ったのはカルラとは色違いの手袋くらい。え?どうして成り代わったかですか?

知りません。気づいたら私はこうなっていたんです。目が覚めたら目の前にマフラーで口元を隠したちっちゃ可愛いイケメンがいたんです。 そう、カルラ兄さんです。はじめは誰かと思ったのですが、大きくなるにつれ、彼だと確信しました。

英語が大嫌いな私は英国の学校は通うのが嫌でした。兄さんとは日本語でも話せたし、少しだけ英語も教わっていた。話せるけど意味までは分からないのだが。というか意味は知らなくていいと言われた。私も面倒くさくて調べることをしなかった。あとは狼と話せるから別にいいかなって思ったり。小さな頃(でも中身はいい年した一般人)の私は狼になって一緒に遊んだりした。始祖って凄いと感じた。今はなんないけれど。

日本に行けることになって嬉しかった。
でも、長らく英国で人付き合いが無かった為に会話することが難しくなっていた。 どうやって人と話してたっけ? だなんて考えるくらいに。

カルラ兄さんには学校で話しかけられたら教えた言葉を言えばいいと言われたのでそうした。

でも、私は忘れていた。話しかけてきた彼の頭が良いことを。





prev mokuji next

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -