小説 | ナノ


ベアトリクス組(シュウ・レイジ)とお菓子作り
現代パロディです。
電化製品とかでてくるんで……。


「えっと、こう?」

キッチンではコーデリア、シュウ、レイジの三人がエプロンをして作業をしていた。フリルのついた色違いのエプロンはコーデリアの自作である。きちんと兄弟別に色分けされているから凄い。

シュウは板チョコを刻んでおり、コーデリアにその具合を聞いた。

「はい、そのくらい細かく刻んでくださいね。それが終わったら湯煎でチョコを溶かしてください」

コーデリアはシュウにそう答えた。シュウは刻み終わると、ボウルにチョコを入れて湯煎で溶かし始める。

「コーデリア様、牛乳はこれくらいでいいですか?」

レイジは牛乳を計量カップに注ぐとコーデリアに見せた。

「……150ccちょうど。レイジさんはお料理に向いていますね」

コーデリアはカップを台に水平に置いて確かめてからレイジに微笑みながら言った。

「そうですか?」

レイジは恥ずかしそうに答える。

「ええ」

チンッ、と電子レンジがコーデリアの言葉の後に可愛らしい音を立てた。
「コーデリア様、バターが温まったよ」

「はい、ではレイジさんは卵を溶いて、温まったバターを入れて混ぜてくださいね」
「分かりました」

「シュウさん、チョコを溶かし終わったらこちらの炊飯用ボウルに入れてください」
「はーい」

シュウはそう返事をして、チョコを移し替えた。

「レイジさん、混ぜ終わりました?」

「はい、これで大丈夫ですか?」

卵とバターを混ぜた器を受け取って数回混ぜたコーデリア。

「上出来ですね」

そう言うとレイジは嬉しそうに笑った。

「コーデリア様、移したよ」

「では、レイジさん。これをチョコのボウルに五回に分けて入れてください。シュウさんは、その都度混ぜてください」

よく混ぜるのがコツですよ。微笑ましい光景にコーデリアは満足気だった。

シュウとレイジは協力しながらチョコと卵を混ぜていき、最後の一回を混ぜ合わせた。

「出来たよ、コーデリア様」
「頑張りました」

「では、こちらのホットケーキミックスとココアパウダーをふるい入れしましょう。シュウさん、ふるい器を押さえていてください。レイジさんはクルミを準備していてくださいね」

「「はい」」

二人は息を揃えて答えると、コーデリアの言うとおりに作業をした。

「こうやって切り混ぜていくんですよ」

「うわー、すごい」

「やってみますか?」

「ぼくには無理かも……、レイジは?」

「挑戦してみます」

ゴムベラを受け取ったレイジはコーデリアが先ほどしていたように混ぜた。クルミを入れて綺麗に混ぜ合わさったところでコーデリアにバトンタッチし、ボウル周りを掃除してもらう。その後に布巾の上で空気抜きをした。

「後は炊飯器にセットするだけです」

「うまく出来るかな」

「出来ますよ、二人とも頑張りましたから」

ふふ、とシュウの頭とレイジの頭を撫でてコーデリアは答えた。

「母上が喜んで下さると良いのですが」

「ベアトリクス様はきっと喜んでくれますよ」

何故シュウとレイジがコーデリアとキッチンに居たのかは、母親であるベアトリクスの為にコーデリアにお菓子作りを教わっていたからだった。コーデリアは簡単なブラウニーを二人に教えて一緒に作るのを手伝っていたのだ。

「スイッチはシュウさんとレイジさんが一緒に押してくださいね」

「「うん/はい」」

ピッ、と同時に押す二人にコーデリアは、また満足気に微笑んだ。


「待っている間に、洗い物を済ませておきましょうか」






洗い物がすんで数時間経つと炊飯器がきらきら星のメロディーを流して出来上がったことを知らせた。

竹串を刺して具合を確かめるコーデリアに二人はドキドキして待っていた。

「ん……、このくらいで大丈夫ですね」

コーデリアの言葉を聞き、二人は安心すると、口を開いた。


「やった。レイジ、ちゃんと出来たよ」

「そうですね、あとは母上に食べていただくだけです」


出来上がりを見た二人は楽しそうに笑い合うのだった。









*その頃、キッチンの扉の前で見ていた人たち


ベ(ああ、私の息子達とコーデリア様があんなに微笑んで……天国です)

カ(ならば早く昇天してしまえばいいじゃないか。シュウ、私のコーデリアに近すぎないか。レイジもそんなに顔を紅くして……)ベ(貴方はさっさとお仕事に戻られてはいかがですか? 息子達とコーデリア様が作っているのは『私の』ブラウニーですから)

カ(くっ、私のコーデリア……)

リ(はぁ……、またですか兄上)






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