※コウ視点 「ねぇ、アズサ」 「……何、……コウ」 アズサはずるい。いっつもトウカに抱きついてるし、トウカちゃんもぜんっぜん嫌がったりしない。むしろアズサの頭を愛おしそうに撫でる。まぁ? 俺だって撫でられたりするから別にって感じだけど。でも、でも許せない。だって、 「なんで昨日はトウカと一緒に寝てたの!!」 そう、昨日トウカちゃんを起こしに部屋に行ったらアズサとベッドで寝てたんだよ!? しかもその時のトウカちゃんの格好ときたら、鼻血ものだった。白いシャツだけでボタンが胸より下のとこの一つだけで止められてて肌色がチラッチラ見えてた。そして問題のアズサがどうしてたかというと、トウカちゃんのあの柔らかそうなおっぱ……じゃなくて胸に顔を埋めてたんだよ!? もう信じらんないっ。 「……別に、……いつもだし」 「は?」 今、アズサは何て言った? 「お前、知らなかったのかよ」 リビングにいたけど今まで空気だったユーマくんが俺にそう言ってきた。 「こいつ、トウカに駄々こねて寝てんだ」 「なっ!?」 知らない。そんなこと初めて知った。 「だって、……トウカが好きだから」 包帯をした腕を見るのを止めたアズサは俺を真っ直ぐに見てそう呟く。 「そんなの俺だって一緒だしっ!」 「るっせーな」 声の大きいユーマくんに言われたくないよ。 「絶対俺のほうがトウカのこと好きだもんね」 「おい」 「アズサよりも、ユーマよりもぜーったい俺のほうが」 「コウ」 「うるさいな。俺が一番なんだよ」 「ほう。……誰に向かって言っている」 「あ」 気付いたらトウカちゃんが後ろに立っていた。それも、ものすごく怖い顔をして。 「……トウカ」 アズサがトウカちゃんに気付いて側にいった。ずるい、また抱きつく気だ。 「ざまあ」 ユーマくんうるさい。 「それで? お前は何が一番なんだ?」 トウカちゃんが俺に言う。 「えっと、……その」 「アズサやユーマに言えて、俺には言えないのか?」 ああもう、トウカちゃんってば格好いい。格好よすぎる。女の子なのに自分のことを「俺」とか。 「安心しろ、俺はお前を愛しているからな」 トウカちゃんが格好よすぎて直視できないから、俺は顔を背けた。たぶん顔を真っ赤にしてるはずだ。だってこんなに頬が熱いんだから。 |