これは、コーデリアと三つ子が森に遊びに行った時の出来事。 「母様、これは?」 若草色の細長い葉っぱを持ったカナトはコーデリアに名前を聞いた。 「それはネイマという薬草ですね」 「母さんっ、こっちは?」 「ふふっ、その花はプリメラですよ。アヤト」 アヤトもそれに続いてコーデリアに聞いた。 「お母さん、この小さい実は?」 ライトは植物の茎についた黄色の実を指差して言う。 「それはネリムの実と言って、そのまま食べてしまうとお腹を壊します」 だから一度、その実を煎(い)ってからすりつぶして丸薬にするんですよ。とコーデリアは微笑みながら答えた。 「あっ! 俺、知ってる。それって風邪薬になるやつだ」 「違います、腹痛用の薬です。ね、母様」 アヤトとカナトがどの薬になるのか言い合いを始める。 「あらあら、どうかしら」 「……熱冷まし?」 ライトは小さく言って首を傾げた。 「その通りですよライト」 正解したライトの頭を、コーデリアは優しく撫でる。 「んふ、本当?」 瞳を輝かせてパッと顔を上げたライトは嬉しそうに笑う。 「あっ!! ずるいぞライト」 「そうですっ。母様、僕も撫でて下さい」 側にやってきたアヤトとカナトが矢継ぎ早にそう言う。 コーデリアはその様子に微笑み、順番に頭を撫でた。 「もう少ししたらお昼にしましょうね」 「「「はーい」」」 三つ子は今日も元気だ。 |