成り代わり | ナノ


「コーデリア様、どうか私と」
「是非、私と」
「すこし宜しいでしょうか、コーデリア様」


父の主催する城での夜会。私の周りには、ダンスを申し込む人が沢山いました。けれども、私は夜会でのダンスが嫌でした。
「申し訳ありません。私は上手に踊れませんから」

誰が来ても私はそう答えていました。

人前に出ることが苦手だったせいもあって私は申し込む人達から離れ、一人テラスへと向かいました。


誰もいないテラスで私は夜空を眺めました。大きな月が照らしています。今日は満月です。
そんな景色を見ながら、私はいつの間にか、歌を口ずさんでいました。


―I'm standing here alone
as always all alone
waiting for you to come
but I know that wouldn't happen
―Passengers walking by
floating clouds in the sky
―I'd better laugh it off
all the things I've done for you
―Is it an easy thing to do?
or is it difficult to do?
―accept the fact
that you have gone without me
then take another step
―I can't believe that this is true
don't wanna hear the words from you
―How can you not find out
what you were meant to me
―I'm a stupid little clown

―Ah I can't see I can't hear
I can't be away from you
―Ah I can't breathe
I can't breathe 
so hard to breathe
―Yes look at it this is it
the fate between you and me
―There'll never be
a chancefor me to get to you


何の曲だったかは忘れてしまいましたが、私が昔好きだった曲なのだと思います。分からないのに、歌詞がすらすらと出てくるのです。

そう思っていると、パチパチと拍手が聞こえてきました。
はっとした私はその拍手が聞こえてきた方に体を向けました。
そこにいたのは男の人でした。

「初めて聴く曲だが、キミの作った曲かい?」

その男の人の声は、私が森で助けた男の人の声に似ています。

「いえ」

「っ!?……キミは、あの時の……?」

私の声を聞いた彼は驚いた表情を浮かべてそう言います。

「? ……あ、えっと。傷は大丈夫でしたか?」

彼はあの時に助けた男の人でした。私は彼にそう答えます。

「ああ、助かったよ。改めて礼を言う」

「……ふふっ」

私は小さく笑っていました。

「何故、笑うんだ?」

「こうしてまた、会えるとは思いませんでしたから。……少し嬉しかったんです」

貴族の方にもやんちゃな方はいらっしゃるんですね。と私は続けた。

「それはキミも同じだと思うが」

「あれは薬草を採りに行っただけです」

まぁ、活発なのは認めますが。少しむっとしながら私は答えました。

「ふっ。キミはおもしろいな」

彼は笑ってそう言いました。






歌詞:からくりピエロ(英訳:nano×mes)より





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