はじめまして。私、コーデリアと言います。本当の名前は別にあった気がしますが、私の今の名前はコーデリアというらしいのです。私のお世話をしてくれた乳母やメイドさん達、そして父や母がそう呼ぶので私の名前はコーデリアなのだと思うようになりました。気がついたらそうなっていたのです。その前のことを思い出そうとすると、記憶に靄がかかったようになって、頭痛がするのです。 私は魔王の娘に生まれました。魔王といっても、それほど怖くはありません。父はとても優しく、私や母は疎か、使用人達にまで、家族のように接しています。私はそんな父が好きです。そんな父が欲しかったのかもしれません。 そして母は私に色んなことを教えてくれました。母は、魔界貴族の生まれではなかった為か、使用人が止めても自分のことは自分でする人でしたから、料理や縫い物、その他のことを自分で教えてくれます。私はそんな母が好きです。そんな母が良かったのかもしれません。 優しい父と母、そして使用人達が私は好きです。 そんな環境を求めていたのかもしれません。 愛が、 ――愛が欲しかったのだと思います。 back |