お二人の言い合いはそれからも続きましたが、ここで私に限界がきてしまいました。 「あ、あの……、カールハインツ様。くるしいです」 「「!?」」 私の弱々しい声に気付いた途端、カールハインツは抱き締めていた腕を離しました。 「すまない」 「コーデリア様、大丈夫ですか?」 「だ、大丈夫です」 心配そうに私を見るベアトリクス様にそう答えました。 「まったく、貴方には少しも安心できませんわ」 「それはどういう意味だい?」 どうしましょう。二人の間にまた不穏な空気が流れています。 「お、お二人とも……私のために争うのは止めてください!!」 せっかく仲が良いのに、喧嘩になってしまうのは良くないと思います。 そう言うと、二人は顔を見合わせました。 「「…て」」 「?」 「「なんて可愛らしいんだ/でしょう」」 カールハインツ様とベアトリクス様は同じことを綺麗にハモらせておっしゃいました。 「ああ、やはり貴方にはコーデリア様は勿体ない」 「何を言うんだ、コーデリアは私のだ」 「そのように独占欲が強い殿方は女性に嫌われますよ」 喧嘩するほど仲が良いというのは本当のようです。 そして二人はまた小一時間ほど言い合うのでした。 prev next back |