僕はいつも影が薄いから誰にも気付かれないと思っていた。
あの日までは。
「 黒子くんだっけ? 」
「 えっ? 」
「 黒子くんっていつもそんな感じなのかな? 」
「 どんな感じなんですか 」
「 うーんとね、 周りに気付かれなくても平気そうな顔して本当はすっごく気にしてるの 」
驚いた。 僕のことに気付いて、しかも いつも心の何処かにあった本心を言い当てられたことに。
「 僕に気付いているなんて、びっくりしました 」
「 気付いてたよ かなり前からね 」
そう言ってはにかむ彼女の顔が忘れられなくなった。
「 いつからですか 」
「 君がこの学校に入学する前から 」
ああ、僕はこの時から彼女のことが好きになってしまったのかもしれない。
誰にも気付かれない影が
一人の少女に恋をした。
2014.06.15加筆修正