間違ってもない
赤司






決して彼が頭が良いからとか顔が良いからとか、彼の家が物凄くお金持ちでお坊ちゃんだからとかじゃなくて。





―私が彼に「一目惚れ」したからだ。
間違っても、自分の保身の為にではない。
一年の時に私が落とした生徒手帳を拾った彼が、それを目の前に差し出してきた時に、私は初めて彼を真正面から見た
赤い髪に赤い瞳 誰も寄せ付けないような雰囲気をまとった彼 赤司征十郎くんを。


彼が生徒手帳を拾って、尚且 それを落とし物として渡しに来てくれるだなんて絶対に有り得ないと私は思った。 (まぁその時に不覚にもキュンとして一目惚れした訳だけれど)



それからというもの 私の日課は彼を遠巻きにでも眺めることになった。 あんな雰囲気の彼の近くは恐れ多くて傍には行けない。 傍にいる真太郎くんが私は羨ましい。 (真太郎くんは私のいとこである)


「 真太郎くん 」

「 何なのだよ 」

「 赤司くんの事についてなんですが 」

「 赤司本人に聞け 」

真太郎くんには逐一と言って良い程、赤司くんについて聞きまくっている。から私が話をしようものなら真太郎は綺麗に整った顔を歪め眼鏡のブリッジを押し上げてそう言うのだ。

「 そんな事出来たらもうしてるんだけどな 」

「 赤司はお前が思っている程怖くはない 話せば分かるのだよ 」


真太郎はそう言って今日のおは朝占いのアイテムであろうピンクのウサギを右手から左手に持ち変えて私の前から離れた。
引き留めるのは流石に気が引けたので止めた。





「 赤司くんと話すなんて恥ずかしくて 」

「 俺がどうかしたのか? 」

「 それがですね…… って!? 赤司くんっ!? 」

「 君の事は緑間から聞いてるよ 」

「 さいですか 」

真太郎くんめ 私の何を話したんだ
私のそんな様子を見て赤司くんは

「 俺について何が聞きたいんだ? 」

と言ってきた ああ恥ずかしくて死ねる 穴があったら入りたいってこんな事を言うんだね 一つ賢くなったよ私、


「 あの… 私の事、覚えてます? 」

「 覚えてるよ 俺が拾った生徒手帳の持ち主だろう 」

―そして俺の一目惚れの相手だ。


覚えてくれていた事に私は嬉しかった。 それと同時に彼も一目惚れだった事が驚きで私は声が出なかった。







2014.06.15加筆修正





mae tsugi
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