痛み





あなたにつけられた傷は今もずきずきと痛むのです。
血は流れなくても心の傷がずきずきと痛むのです。


きっとまだ、あなたのことを思いすぎるから こんなに辛いのでしょうか。








「 卿はまだ其所にいるつもりかね 」



あの人が私に語りかけるけれど 何故か私は答えられないのです。
パクパクと口が動くだけなのにあの人に伝えようと声を出そうと必死になる。


「 卿にはもう声は無いと謂うのに 」




私に声が無いのはどうしてなのでしょうか。


「 まだ理解していないようだが 」



私は何を理解していないのでしょうか。


「 卿は もうこの世にはいない 」





そうだった。

私はあなたに、


「 卿は私が弑した 」




息の根を止められたのでした。

私はそれでもあなたを愛していました。






そしてまた、あなたが残した傷がずきずきと痛むのです。





2014.06.15加筆修正




mae tsugi
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