「 赤司くん 」
「 なんだい 」
「 や そろそろ …離して欲しいな〜 なんて 」
後ろから抱き締めるように腕を回し、尚且膝に乗せているから彼女に逃げ場はない。 離して欲しいという彼女の願いを叶えてやる事はしない、 絶対に。
それを物語るように抱き締めている腕を更にぎゅっとする。
離してしまえば何処かへ行ってしまうのではないかと不安になるからだ。 こんなことは彼女には口が裂けても言えないだろう。
「 そろそろ降ろしてくれない? 赤司くんの足痺れるし 私、重いし… 」
「 君の体重なんて苦じゃないよ、それにそんな柔な鍛え方はしてない 」
平気だ。 と言えばまぁ嘘をついている(実際、足がプルプルなんだが)けれど、彼女を離したくなかったからそこは我慢。
それにしても、柔らかい。
女子というものはどうしてこうも柔らかいのだろうか。 それに甘い良い匂いがする(それは何故か彼女だけだ)
「 今日の赤司くん 何か変だよ? 」
「 そうか? …まぁ、そうだな 」
普段の僕ならこんなことはしない。と思って心配したのか、彼女は僕にそう言うから。 否定しながらも最終的には肯定した。
「 今日は甘えたさんだね 赤司くん 」
「 ん 」
彼女の背中に自分の額を擦り付ける まるで猫みたいだ。
気紛れなところもそっくりだと笑われてしまいそうだ。
僕のものだと主張するように 僕はまた彼女をぎゅっと腕に閉じ込めた。
2014.06.15加筆修正