れいにーでい
黒子





今日は朝から土砂降りの雨。
天気予報では100%と出ていた。
梅雨の時期になると 僕はいつも物思いにふけってしまう。
今日の授業の内容だとか、図書室に新しく入った本だとか、部活での些細な悩みだとか そんなものを一切忘れて、
あの日のことを思い出す。















あの日も土砂降りで 彼女は雨に打たれながら泣いていた場面が頭の中に残っているのだ。

教室の外をいつもつまらなそうに見ていた彼女は何を思っていたのだろうか。
僕は気になって、何度も聞いてみようとしたけれど。
軽はずみに聞いてはいけない気がして聞けなかった。


今考えてみれば、僕がそこで踏みとどまってしまったことがいけなかったねかもしれない。

彼女は次の日 屋上から飛び降りで死んでしまった。
彼女は落ちる時に僕と目があった。 その時、彼女の口は何か言ったのだろうか。 パクパクと動いて 言い終わるとニィと弧を描いて笑った。

その時の顔は今でも忘れない。

とても綺麗で美しかった。





















あの日は朝から土砂降りで、
天気予報が100%だった。

梅雨になると私はいつもつまらなそうに外を見ていた。
授業だったり、部活だったり、悩みだったり 全部忘れて。


土砂降りに打たれて雨なのか自分の流した涙なのかさえ分からなくて。

私は誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。
どんな些細なことでもいいから

…聞いて欲しかった。





私は次の日 屋上から飛び降りた。
落ちる時に一人の男子生徒と目があった。
いつも感じていた視線の主は彼だったのだろうか。
私は金魚のようにパクパクと口を動かして、

『 バイバイ 』


と言って ニィと笑った。
上手く笑えたかな。

その時の彼の顔は覚えてはいない。

ただ、笑っていなかったことは確かだ。








2014.06.15加筆修正




mae tsugi
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