私は三成様の部下で三成様は私の主。
厳しい口調だけれども兵の士気を上げて統率するお姿はとても素晴らしいものでした。
私もあんなふうになってみたい…と思いますが私には到底無理なこと。
大谷様に仰れば。
『 主には無理よ、ムリ 』
と答えるでしょう。
女の私が三成様のようになれるはずも無いし力も無いのだから当たり前だろう。
はぁ、と庭の池の前にしゃがみ込みため息をついていた。
「 私じゃ 何の役にも立たない 」
「 そうよな 主では何の役にも立たん 」
「 それに 弱いし 怖がりだし」
「 頭も出来が悪い 」
うんうん と頷いてみたがふと ん? と思う。
「 あの 大谷様、? 」
「 如何した? 」
「 いつからそこに居たんですか 」
大谷様の存在に多少ビビりはしたけれど直ぐに冷静を装い話し掛ける。
「 なに、不幸の気配がしたので来てみれば主がため息をはいて何の役にも立たんと言っているのを聞いていたまでよ 」
「 最初からですか 」
「一部始終よ 」
ヒヒッ と笑う大谷様。
「 あの… 」
「 ? 」
「 私ってここにいても良いんでしょうか 」
こんな役立たず、 とボソッと呟く。
すると大谷様の包帯に包まれた手が手刀のように私の頭に落とされる。
「 ぃ痛いです 大谷様 」
「 我は手加減したつもりだがな 」
大谷様は意地悪である。
「 主は ここから離れたいのか? 」
「 そう言う訳では 」
「 ならば疑問を持つことは無かろ? 」
「 でも… 」
「 あやつは主を役立たずとは思うてはおらぬ そうで無ければ今頃主は御陀仏よ 」
「 おっ御陀仏って!? やっぱり私 残滅され「 誰がするか 」 え? 」
突然のことに驚いた。
振り向くとそこには三成様が居た。
「 貴様を残滅などするものか 」
そんな暇などあるか。
ギンッと此方を睨む顔は怖い。
「 三成よ そのような顔をすれば怖がりの其奴が怯えるぞ 」
「 フンッ 知ったことか 」
「 みみみっ三成様 なんで此処に 」
「 刑部を探していたのだ 」
貴様を探してなど決してないのだから勘違いはするな。
「 ヒヒッ 三成はつんでれ よな 」
「 うるさいっ 行くぞ刑部 」
「 あい分かった 進めススメ 」
二人が行った後 私は三成様の言葉にうち震えていた。
2014.06.15加筆修正