スバル成り代わり
名前はスバル固定
「……兄さん?」
「ああ、……何だスバル」
兄さんの部屋に行くと、そこには可愛いぬいぐるみがいた。しかも兄さんの声で返事をした。
「なんでそんなことになってんだ」
「は? なにが」
「なんで兄さんがぐでたまになってんだよっ!! 確かに似てるけど……」
「なにそれ」
黄色い体でゴロンと転がる兄さん。可愛い……、じゃねぇ。というかイヤホンしてるし小さな水色のカーディガン着てるんだな。可愛い。あ、……悪いか? こう見えて可愛いもの好きなんだよ。部屋の一角にはぐでたまがいんだよ。可愛いすぎなんだよ。
「鏡見るか? 見えるのか分からないけど」
偶然、ユイが落としてた手鏡を拾ってポケットに入れたままだったんだ。
「……なにこれ」
「ぐでたま」
鏡に映る姿を見ることのできた兄さんは少し動揺していた。
「で、なんで俺がこんなことになってる訳?」
「いや、俺に聞かれても」
「まあ、いいや。これ、お前が好きなやつだろ?」
「……うん」
中々にシュールな光景だ。兄さんだけに。
「今なら抱き締め放題だけど、……どうする?」
「抱っこするっ!!」
ベッドの上のぐでたま、もとい兄さんをコンマ数秒で膝の上に乗せた俺は偉いと思う。
「ぐでしゅう……だな」
2015 March 31st 19:15