****

逃げ惑うことしかできなかった。

何度許しを乞うても、あの人は許してくれなかった。

彼はそんなあたしを救おうとしてくれている。

…あたしは、ネジに何ができるのだろう?

****

…嫌な夢を見た。
起き上がってから、あたしは小さくため息を吐く。
あれほど嫌な夢はないような気がする。
(レン兄さんが、ネジにすり替わっていたらなんて…考えるだけでぞっとするわ)
しかし現象法を習得していないレン兄さんだ。伝心法さえ看破すれば、勝つことは容易だろう。ネジが、レン兄さんに負けるはずないのだ。

着替えなどのもろもろの支度を終えて、台所に向かう。
珍しくネジはあたしよりも先に起きていた。

「おはよ〜」
「!…あ、ああ。おはよう」
びくりと、ネジはあたしを見て、顔を強張らせた。
そしてそのまま、ふいっと、目線をあたしから逸らす。
「・・・?」
…嫌な、予感がした。このまま踏み込んでもいいことはない、そんなことはよく分かっている。
「どうしたの?何かあった?」
それなのに、踏み込んでしまうのは、あたしの行動抑制能力が未熟だからか。
…彼は、静かに、逆にあたしに質問をした。

「…いや、お前こそ…昨日のこと…大丈夫か?」
「・・・え?」
「いや、悪いのはオレだし大丈夫も何もないんだが…」
「何、言ってるの?」
「?…だから、昨日のこと…腕の痣に…それにオレなんかと話していていいのかと」

――…嗚呼。どうやら、あたしはまだ夢の中にいるらしい。

「…」
ゆっくりと、あえて見ないことにしていた腕を見る。そこには、くっきりと、ネジに握りしめられて色づいた赤が、浮かび上がっていた。
「…ゆめじゃ、なかったんだ」
「…済まない」
「…謝らなくていいわ。こういうこと、されてるのは慣れてるもの」
「舞衣、オレは…」
「もういいから…謝られるほうが空しいの、分かってよ…」
きっと、この痣は今日の夜か、明日の昼には消えてしまうだろう。
でもね、ネジ、心の痛みは消えないの。
あなたも、よく知っているでしょう?

「…ごめん、今日はもう、話しかけてこないで…」

このまま一緒に居たら、きっとあたしはまた泣いてしまう。
せめて、一人になりたかった。
与えられた部屋に向かって、歩き出す。
後ろから、「…ああ」という、弱弱しいつぶやきが聞こえた。

****

「はぁ・・・」
唇の隙間から、ため息が漏れる。
結局あの場にも居たくなくて、日向家を飛び出したあたしが行き着いた先は、森にある大きな木の幹の上だった。

本当に、なぜ、なんだろう。
よくわからない感情が、ぐるぐると自分の中で渦巻き続けている。
何故ネジはあんなことをしたのか。
何故こんなにも気まずくなるような接し方しか出来ないのか。
何故…こんなにも胸が痛くて痛くてたまらないのか。

一つ目はいい、ネジを問いただせばわかることなのだから。
二つ目は、演技さえすればいい問題なのに、どうして自分は演技をせずにいるのか。
ネジの前だからとか、前にしたあの約束を律儀に守っているだけ…とか、そういうものではなく・・・何というか、そう、「根本的な不可解さ」が、この胸の中に存在しているのだ。

そして、三つ目は。
「痛い・・・」
小さく、つぶやく。
渦巻く感情の大半を占める胃なのか肺なのかわからないどこかが上げる悲鳴。
押しつぶされそうなくらい、痛い。

――こんなときは、誰かに抱きしめてもらいたい。この痛みが、収まるまで。

****

「…で、なんで俺なわけ?」
「テンテン不在、リーとガイ先生は恋愛ごとになるとあてにならない。…あたしとまともに話をした恋愛詳しそうな人ってもうカカシ先生しかいないんですよ。先生はいつもいちゃいちゃ何とかみたいな、卑猥な本ばかり読んでるから詳しそうじゃないですか!」
「俺よりもっと詳しい奴はいるんだけどネ…サクラとか、いのとか」
「…どちらもまだ私生活関係で話せるような気心知れた仲じゃないんですよ」
「ふーん。じゃあ俺は気心知れた仲ってわけか。うれしいねぇ」
「いえ、別にそうは思っていません。一番まともなアドバイスをくれる、口が堅そうな人という条件から選んだ結果が先生です」
「……」
「…で、分からない話ですよ」

誘い出した先の演習場。黙り込むカカシ先生は徹底的に無視、とにかく話を聞いてほしい。
多分これは男の人に聞けばはっきりする内容だと思うのよ。多分。
だから単刀直入に聞くことにした。

「先生、男の人って何を思っていきなり人の両手を拘束して壁に押し付けて逃げられない体制を作るんですか」
「ゲフッ…」
何も飲んでいないのに唐突に先生が咳き込む。
え、何、どうしたの。風邪?空気吸い間違えた?
「先生、落ち着いてください」
「あ、あぁ…うん、何、それ、ネジ君が舞衣ちゃんにやったの?」
「…っ、誰もそんなことは言っていません。いいからどうぞ、答えてください」
図星を言われて目をそらす。多分ばればれだがまぁいい、答えてもらえるものには答えてもらわねば。羞恥心は捨てるものよ、多分。

「えー…18禁展開だとそりゃあ…ねぇ?そういう意味になるけど…多分、君が言いたい場合だとそうだね…好きだから、じゃないの?」

好き。
ずっと拒絶し続けてきたその言葉が飛び出す。
カカシ先生の言葉は続く。

「男って手に入れたいものとか、手に入れたものがあったらすぐそっちの方向に走っちゃうものなのよ。何らかの焦りを感じたときとかもね。
大方、別の男と今みたいに話しているところを見て、嫉妬でもしたんじゃない?彼」

…心当たりはあった。
そういえばリーと話していた。ネジがおかしくなる前に、あたしが振った話は、そのリーといたときのことで、でも。

「リーは、同じ班員で、仲間なのに。なんで?」
「…男として許せないってやつじゃないの?俺にはよく分からないケド」
なんせ俺も初恋まだだしねーとカカシ先生が空を見上げた。

好き。嫉妬。
知りたくもないし分かりたくない、そう敬遠していた感情。
それなのに、今、どうしてあたしは、『うれしい』と思っているのだろう。何だろう、これは。

分からない、分からないと悩むあたしを先生が笑う。
ゆっくり考えるのも青春だよ、と。誰かさんが言いそうな言葉をおいて立ち去って行った。

****

ちょうどその頃、ネジは、テンテンに質問攻めにされていた。
「なんで舞衣にそんなことしたのよ!」
テンテンは、仁王立ちをしてネジを責めている。当然だろう、何打かんだいってこの女は、舞衣と一番長く関わっている人物なのだ。どれだけ大切に思っているかも良く知っている。

・・・どうせこの女は答えるまでしつこく聞くのだろう。
大人しくネジは、質問に答えた。それしか、もう道はないと悟った。
「…いらだったんだ」
「はぁ?」
ぴくりと、テンテンのこめかみが動いた。
どうやら、言葉が足りなかったらしい。彼は、付け足す。

「シノなんかに抱きつくだろ?リーとあんなに顔を近づけあうだろ?それに加えてさらに「そういえば今日の昼はいらだってたけどどうしたの」と来た」
「あちゃー…それはそれは…ご愁傷様ね」
テンテンは、おそらく彼女に向けられているのだろう。ため息をついてから苦笑いをした。
「だからあんなことをしたのね。確かに、それなら鈍感な舞衣もネジの気持ちに気づくかもしれないわ。…でも、今回のはやり過ぎね」

全くもうアンタって人は…とテンテンはため息をつく。
それから、まっすぐな目で、ネジのことを見た。
「もう…せっかくだから謝るついでに告白したら?大丈夫、アンタなら上手くいくわよ。少なからず、あの子も自分の気持ちに気づいてるだろうし…このままじゃ、うやむやになってお互いが傷つくだけよ」
…テンテンのいうとおり、このままでは会話すらもままならなくなるだろう。
このままでは、自分は、舞衣の信頼を踏みにじった存在として、記憶を書き換えられるのかもしれないのだ。

「…わかった」

だから、ネジは決意し、うなずいた。
うん、とテンテンも笑って、彼の背を押す。行ってこい、と。
静かに白眼を発動し、目的の姿を探し始める。
「あの子ももう、本当は自分の気持ちをずっと前から気づいているはずなのよ。例のごとくの強がりと鈍感スキルが気づかないようにかくしているだけで…」
横でテンテンがしみじみと語る横で、彼女をすぐに見つけ、ネジはよしと意気込む。が、すぐにその決意は泡となった。

「ちょっと押せばあの子もすぐに…」
「…テンテン。一つ聞いていいか」
「?…ええ、何よ。あんたさっきより顔色良くないわよ」
「…舞衣の従兄とやらの髪は、長いか」
「え?…あぁ、そうね。前に見かけたときは長かったわ。意外ときれいな銀髪なのよ」

それを言い終わるころには、テンテンの隣からネジはもう消えうせていた。
最悪の事態だと、そこでテンテンもようやく気づく。が、彼女はあわてなかった。
(…大丈夫、よね)
彼女には、もう守ってくれる人がいるのだから。

****

(くる…しい…息が・・・)
まともな結論を出せないまま、ずっと黙り込んでいた時だった。
偶然、だった。いや、もしかしたらどこかであたしを見ていたのかもしれない。
次の瞬間…もう息はできなくなっていた。そのまま高い木の上から、身体が落下する。そんなあたしを受け止めたのは皮肉にもあの人で。でも首の呪印は、あたしの首をぎりぎりと締め付けることをやめようとはしなかった。

ここにいるのは、あたしと、彼だけ。
「今まで、誰となにをしていた」
「あ・・・う・・・」
冷たい声、あたしの髪を引っ張る冷たい手、あたしを見る冷たい瞳…。

「…くそっ」
小さく彼が悪態を吐く。
体に、鈍い痛みが走り出す。
(…罰、なのかな)
自分を救ってくれる彼の言い分もきちんと聞けなかった。、あたしへの。

****

「…!」
その頃、舞衣を捜すため里内を駆けめぐるネジは、ついに白眼で「そいつ」を捉えた。銀髪の長い髪の男が、倒れている誰かをひたすらに蹴り飛ばす姿。そしてその「誰か」は、言うまでもなく。

「舞衣!」

ネジはすぐに瞬身を使い、さらにスピードをあげて走りだす。
そして…ついに声が聞こえる所まで、彼は行きついた。
「どうして、どうしてだよ、舞衣。どうして分かってくれない?どうして、オレのそばに、何で」
ぐったりと動かない彼女を蹴りあいたのか、男がぐいっと舞衣の髪の毛を掴みあげる。乱れた服から、彼女の白い肩が覗く。
…憎しみで、頭がどうにかなりそうだった。だからネジは、怒りにまかせ、拳にチャクラを集める。そして…一気に男の背に向かって腕を伸ばした。

ぱしぃっ…という乾いた音が、響き渡る。
受け止められた──…。
そう思いながら、ちらりとネジは少女を見る。舞衣の意識はもうなかった。
ネジは屈み、舞衣を抱き抱え、脈があるかと呼吸があるかを確認する。どうやら意識がないが正常らしい…それだけが、彼の幸いだった。
男が、「あぁ、お前か」と顔をゆがませた。

「日向ネジ…そうか、お前か。あのときの餓鬼か…まともに顔を見たのは初めてだな。へぇ…こいつか、この顔か」
「…お前が、舞衣を苦しめた元凶か。…何故舞衣に、こんなことをした?」
「…こいつがオレに刃向かうからだ」
「…っ…そんな身勝手で傷つけていいのか!?宗主はなんと言っている?」
「父は気づいてない。舞衣に口止めもさせてるしな。いや…この場合は、脅しか」
「ああそうだ。オレもお前に聞いておきたいことがある」

「お前は、舞衣のなんだ?」

シン…と、空気は静まっていた。
これ以上は、何も言えなかった。
何故なら、自分は──…。

「彼氏じゃあないよな。そんなことは視ていれば分かる。
なら友達か?ただの仲間か?それとも──傷を舐めあうだけの仲か?」
「…!」
抑えていた怒りが、限界まで到達した。
この男を、殴ってやりたい。
殺して、やりたい。
わなわなと拳が震える。そんな彼を見て、レンは再び笑った。

「殴りたいか?」
冷静なその声に、ネジは目を見開く。
彼の手は、その胸部に添えられていた。
「当たらないぜ。判る、から」
「…伝心法か」
「オレはどこぞの分家の女と違って、人の心を覗くことに、抵抗感を感じたりはしないんでね」
ニヤリと笑ってから、彼はネジに背を向け、悠々と歩き出す。

「お、おい!どこに行くんだ、まだ話は終わってないぞ」
突然の行為に、ネジは、わけもなく慌てる。
しかしレンは、歩き続けたまま、止まらなかった。
「…終わってる。お前の話には中身が無い。それより」
そして、彼は、笑った。
「そこに倒れている惨めな女を、見てやったほうがいいんじゃないか?」
「!」
しまった、とネジは視線を舞衣に向ける。先ほどよりも青ざめた表情の舞衣が、身体を横たえたまま、ぴくりとも動かないでいた。

「舞衣…」
そっと、名前を呼び、ネジは彼女を抱きかかえる。
とりあえず、日向に戻って、舞衣をちゃんとした場所に寝かせよう。
ネジは舞衣を腕に抱えたまま、歩き出す。あの男の姿はもうなかった。

****

ふと、寒気を感じて、目を開けた。

がたがたと揺れる木々の音。
隣には、大きくて真っ白な鳥と、四角い箱。
その箱に手をかけ、ゆっくりと蓋を外す。

…軽い。
…軽くて、まるで、砂のよう。
骨はない。
いや、これ自体が骨であり、肉なのだ。

かつて愛していた人の、身体。

あたしも、いつかこうなるのだ。
この力を、使い続けていたら…最後には、灰になってしまうのだ。
一生懸命かき集めないと、手にすら残らない、灰に。

誰かを、遺して。


****

「―――…それは少し、嫌だな」
「・・・は?」
「え?」

夢の中で呟いた言葉に、誰かが返事をしてきたものだから、あたしは驚いて目を開けた。
「…ネジ・・・?」
今の状況に、思考が付いていけない。
最後の記憶は、そう、空羽と一緒にいて、それから兄さんに会ったというものだった。

それなのに、ここはネジの家の、使わせてもらっているあたしの部屋で、寝間着をしっかり着ていて…。混乱しているあたしを見かねたのか、ネジが「あー…」と、小さく声を上げた。
「お前をあの男からどうにか助けて、ここまで運んできたんだ。それで着替えさせ…い、言っておくが俺は別に気を失っているお前に対してやましい気持ちを抱いたりはしてないし、ただ純粋な好意で着替えをだな」
「…ネジ、それ…軽く聞き流せなくする状況を自ら作り上げてるわよ」
「う・・・」
顔を真っ赤にしながら、ネジは俯く。…でもまぁ確かに、あんな服を破かれた状態で放置されても困るし、その点を考えるとネジの行為はありがたかった。

…そして、次に浮かぶのは、申し訳なさ。
あたしは、ネジとは反対の方向に視線を向ける。いま目を合わせたら、泣いてしまいそうだった。
「…ごめんね、あたしって本当に駄目ね」「…?」
「ネジの言い分も聞かないで、勝手に飛び出して、こんな目にあって、迷惑かけて…何してるんだろ。本当にごめんなさい」
言いたいことを全部言って、あたしはネジに背を向けて体を丸める。

それから、少しの沈黙が部屋に生まれてしまった。
気まずくて気まずくて、次の言葉を出すことが出来ない。
どうしようかと迷っている時、ネジが、ぽつりと呟くような小さい声で、あたしの名前を呼んだ。
「え?」
呼ばれたからには、振り返らざるを得ない。あたしは、目線をネジのもとへ向ける。
…いつになく、真剣そうな彼の表情。 なんだか、変な雰囲気で、何故だか意志とは反して、あたしの心臓が高鳴る。心拍数が、速まる。聞こえてしまいそうなほど、心音が、大きい。
ひそかに、抑え込むように、あたしは胸に手を当てた。

「…な、何…?」
なるべく平静を装いながら、あたしはもう一度彼に問いかける。
彼は、真剣な表情を崩さないで、今度ははっきりとした声で言った。
「…嫉妬していたんだ」
「…え?」
「嫉妬していたんだ。練習とはいえ、シノに抱きついたり、リーとあんなに顔を寄せ合ったり…。それに、いくら練習とはいえ、いくらリーがサクラを好きとはいえ、あんな無防備だと男なら誰だって、お前が好意を持っているんじゃないかと勘違いするんじゃないか?」
「そ、それ、嫉妬っていうのかな?」
「いいから聞け」
ぴしゃりと、あたしの突っ込みをネジが遮った。どうやらまだ話は続くらしい。
なぜか、あたしはこの問題を自分の話だと認識できていなかった。

「それにだ。お前は散々、オレの手をいきなり握って歩き出したり、抱きついて来たり、終いにはなんだ?泊まるときた、お前は合宿だと銘打っていたが、これでは周りから見たら結婚前提で同棲しているようなものだぞ?
オレだって男だ。健全な性機能を持つ男だ。それなのにお前は無意識なんだろうが胸を腕に押し付けてきたり、早朝に起こして来たり・・・ナルトのお色気の術よりもたちが悪いことを…」
「…えっと、あの…別にあたしはそんな深い意味を持ってやってたわけじゃ…」
「だからそれがなおさらたちの悪いことなんだ」

「それに、身体の話だけではない!お前はいくら幼なじみとはいえ、オレのことを頼り切った眼で見てきたり、無防備に笑いかけてきたり・・・ああ、思い返せばゴロゴロと出てくるな…」
「…だって、信用してるんだもの」

いったい彼は何を言いたいのだろう?さすがにここまで遠まわしに言われると、イライラしてくる。というか彼はもしかしてあたしに説教をしたいだけなんじゃないだろうか?
そんなあたしの気持ちを察したのかは知らないが、ついに彼は答えを言った。

「…っ、だから、ここまでされて好きにならない男がいるかという話だ」
「・・・え?」

イライラが、一瞬で消える。
思考が、停止する。
えっと、それは、つまり、もしかして。

「・・・オレは、お前が好きだ」

顔を少しだけ赤くしながら、ネジはあたしを見ていた。
それから、さらにもう一言。

「大体、初めから気にでもしていないと、最初からお前の運命を変えてやろうだのなんだの、そんな話はしていない」
「だからそうだな、今までのお前の無意識の行動を含めると、ほかの奴らの二倍以上はお前が好きなんだ」
「舞衣」

頭が、真っ白になった。

****

男なんて下心で動く生き物。

そう昔、誰かが言っていたような気がする。

まさかネジまでそれは、なんて思っていたあたしはバカだった。

はじめて、彼の本心に触れた。

****

胸の痛みの意味
人とかかわることはあまり好きではなかった。
しかし言葉に出してようやく実感したのだ。
ああ、この気持ちは恋愛感情だったのだ、と。


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