With Neji,and then…

「ネジはいつからあたしが好きなの?」

なんとなく気になっていたこと。
問いかけられた当人は、「そんなことを聞いてどうする」と苦々しげな顔をした。

「だって、普通は失望しない?うざったい女だと思わない?こんなひねくれて、片意地ばかり張って、可愛げもない。どこがいいのよ」
「…そうだな、本来ならば目を合わせるだけで不愉快な気持ちになっていたかもしれないな」
「だったら、」
「だが、どうしてだろうな。お前はとにかく違ったんだよ」
「そんな恋愛小説の悲劇のヒロインあるあるみたいなことと同じことを」
「だが事実だ。なぜか目の端でお前を追いかけていたり・・・ああ、そうだ、つまり『一目ぼれ』というやつかもしれん」

吃驚した。まさかネジの口からそんな言葉が出てくるとは。
なんだかおかしくなって、少しだけ笑うと、むっとした顔のネジが「じゃあお前はどうなんだ」と聞き返してくる。

…あたしが、ネジを好きになったきっかけ。
好きだと認めた瞬間なら、あの劇の時のことだけど、多分好きになった瞬間はそれじゃない。
今思えば日記に『ネジ嫌いネジ嫌い』と書きなぐっていたあのときも、初任務で落下したときも…いや、再会する前から、本当は、もう。
だってあたしは待っていたじゃない。この人が「あたし」に気づいてくれるその瞬間を。ほかの人じゃない、この人に。

「…そうね、あたしもきっと一目惚れだわ」

抱きとめてくれる彼の首筋に口付けを落とす。
終わらないで、終わらないで。そう願いながら。


「かわいそうな男だと、そう思わないか。舞衣」

あの人が突然現れたのはその日の夜。
首の苦しみは無い。皮肉な笑みを浮かべながら、あの人は、

「知らないなら教えてやろう。舞衣はな、このまま忍として生きていくと、20歳を過ぎたころには死ぬんだよ」

「骨も残らない、灰になって消えていくんだ」

何にも勝る痛みを与えた。

訪れた夢の終わり
ほらね、壊れた。あっけなく。

(5/5)
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