9.君との約束

言ってしまった。
言ってしまった…。

混乱していたせいか、住み慣れた父の居ない家の柱に、オレはごんっと頭をぶつけた。
「……っ」
じんじんとぶつけたそこが熱を持ったように痛み出す。
冷やさなければコブが出来てしまうだろう、しかし、今のオレにはそんな余裕がなかった。

「ヒナタ様…」
恋しい人の名前が、吐き出した息とともに漏れる。

どうしても抑えることが出来なかった。
長年の思い、中忍試験のあの日に消し去りきれなかった思い。
据え膳食わぬは男の恥というかなんというか…。
あそこまで言われててしまったんだ、あのままだと気まずくなって離れ離れになりそうだったんだ。
それならば、もう覚悟を決めるしか道はなくて。

──兎に角、あとは彼女次第。

彼女の意にそぐわぬ行為だったと、オレが確信した時はそこで身を引こう。
彼女の望まぬオレの姿だったならば、オレは今度こそ彼女の望む「日向ネジ」で居よう。

それが、【今度こそ】守ると誓った決意。

「可愛い子ですね、父上」

その言葉と共に誓った「守りたい」という思いを、
心中で彼女に約束した決意を、

オレは、今度こそ守らなければいけない。
代償に、オレが傷ついて、ボロボロになって、地に伏すことになったとしても。

きっとそれが、オレに出来る唯一のこと。

「ヒナタ様…」


****

短い。ひどく短い。
大人しく加筆前のタイムカプセル書いておけば良かった。

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