泡沫のように、ふわりふわり、と。
目の前が真っ白で何も分からない。
ぷかぷか、と記憶の欠片が浮かんでは、ぱちん、と消えて逝く。
その記憶を逃がさないように、抱き留めておいたのに、その欠片はおれの腕からボロボロと零れ落ちていく。
(逝かないで、)
ゴボボ、と声に成らない叫びが息と共に消えていく。
届かない。叶わない。
涙すら、形に成ることも許されず、ただ、怖い思いが胸を支配する。

「惺、」

声に、つられるように手を伸ばす。
(嗚呼――…)
―――泡沫は、おれか。





「愛してる。」





その吐息だけは、失いたくないのに。
何時だって其れだけが在れば良かったのに。



あの頃を繰り返すかのように、
争いも、
憎しみも、
罪も、
消えない。



次目覚めた時は、
どうか、
少しでも愛しき人を守れる強さが、此処に在りますように。



お前の居ない世界で、
浅ましくも願う。




first season end.
2012.10.08追加
2013.01.29修正


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