確かに、あの日、水着買ったけどさぁ。

「絶対この為に買った訳じゃない!!」

休憩中の教室にて。目の前には苦笑いの真琴と大して興味無さそうな遙。
私は、まんまと嵌められたのだ。
「だって、チアの人達が頼み込んできたから…帝も当然知ってるのかなぁって…」
「知ってたら無人島には行きません!」
全力で反対した。
そう、いつの間にか私達チア部も水泳部の無人島合宿に参加することになっていたのだ。私の知らないところで、勝手に。
(絶対あっちゃんのせいだ…!!)
小さな声で「まぁ、無人島じゃないけどね」と付け足す真琴。この際無人島だろうが無人島じゃなかろうが構わない。あの子達の、面白そうなイベントにいちいち首突っ込む癖は何とかならないのか。
「大体、チア部がどっかの島に合宿しに行く意味ある?絶対に水泳部の邪魔になるだけだよ…」
容易に想像出来た。チア部の私以外のメンバーには彼氏が居るけれども、何故かチア部内で、怜がめちゃくちゃ人気なのだ。新しく入った水泳部員がちょっとおかしくて可愛い、庇護欲をそそる、なんて皆言っているのだ。怜に迷惑をかけない為にも、チア部と水泳部を一緒にしてはいけない。割りとガチで。あの子達結構肉食なところがあるから、怜にトラウマを植え付けて練習出来なくさせてしまったら私が申し訳なくなってしまう。
「えぇ…どうしよう…。笹部コーチに言っちゃったよ…。チアの人達も乗せてくれって」
「ま、まじかぁ…」
なんでこんなときだけ行動が早いの。大体真琴は海が苦手なんじゃなかったのか。なんで真琴が一番意欲的なの。
「うわぁ、どうしよう…」
これはもう行かなきゃいけない感じだよね。ああ、私の休日グッバイ…。項垂れていると、遙がボソリと私に告げた。
「合宿じゃなくて旅行感覚で来ればいい」
「そうそう、俺達が練習してるときは、皆で遊んでればいいよ」
「それ大丈夫かなぁ」
もっとヤバい気がするけど…。
怜に寄って集るメンバーを想像してしまう。
眉間に深い皺を刻みながらウンウン唸っていると、小さな声で再び言葉が聞こえる。
「女子が少ないから、お前らが来るとコウが喜ぶ」
「遙、それ狡い」
そう言われたら行くしかないじゃないか。
真琴が「結局一番来てほしいのはハルじゃん」と笑う。
「…行けばいーんでしょ、行けばっ、」
こうして、私達チア部も水泳部の合宿についていくことになったのだった。




2014.07.07



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