最近は、チアが無い時は殆ど水泳部に居る気がする。
「お疲れ様です帝さん」と声をかけてくる怜に「おつかれー」と軽く返した。よく来るせいで怜ともすっかり打ち解けてしまった。
「今日は部活無いんですか?」
「うん、今日は休みー。でもそろそろ他校との合同練習もしたいから、それに備えないとなぁって思ってるんだぁ。明日からはまた自主練地獄かな…」
苦笑いで告げると、怜も私と同じ苦笑いで見詰めてくる。何だろう。何か変な事言ったかな私。
若干不安が過る私を余所に、怜はまるで世界の終わりでも来るような震えた声で「合同、練習…っ」と呟いていた。え、なに。合同練習に何か嫌な思い出でもあるのかな。水泳部入って間もないのに早速トラウマ作っちゃったのかな。何があったのかめちゃくちゃ気になるんだけど、これって訊いたらまずいかな。
悶々と考えていると、「ミカドちゃんヤッホー!!」という叫びと共に後ろから衝撃。
「ぐぇ」と女らしさの欠片も無い声を洩らし、僅かに咳き込む。犯人は振り返らなくても分かる。
「なぎさっ、びっくりするから…っ」
しかも、振り向いて気付いたが、彼は水着一枚ではないか。ほぼ裸の状態でよく女の私に抱き着く(タックルとも言う)事が出来たな。一歩間違えば警察に連れていかれてもおかしくない気がするよ。
「ねえ、二人とも何の話してたの?」
「帝さんのチアリーディングの合同練習の話です」
「へぇ!合同練習なんてやるんだ?」
「まあね。大会に向けて他校との合同練習は必須だろうしね」
渚は「ほぉ…」と興味津々な感じで話を聞いている。
「それってどこの学校とやる予定?」
「まだちゃんと決まってないけど…。すぐ近くに女子高あるの分かる?そこと合同練習したいなって思ってる」
中学時代の先輩が部長を務めているから、お願いすればサクッと合同練習の予定を入れてくれるだろうし。
今日、先輩に連絡しよう、と心に決める。目の前の渚に向き直ると、彼は何故かキラキラした表情で此方を見詰めている。
(嫌な予感する…)
「どうしたのかな?渚クン?」
わざとらしく問い掛ければ、彼は笑みを深くして。

「僕達も行っていい?!」

とんでもない爆弾を放り投げた。




2014.06.16



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