「あー、ムシャクシャする。ヤらせろ」

そんな最低な科白と共に彼は私の部屋にやって来た。「まだ昼間よ」と言う正論をぶつけること以前に、「あぁ、まだ私の身体は求めてくれるのね」と嬉しくなった私はきっと末期なの。
その伸ばされた手を振り払う事もしないで勢い良くベッドに倒れた。直ぐに両手が身体中をまさぐる。
先程の科白もそうだけど、彼は今すこぶる機嫌が悪いみたい。例の大佐に何か言われたのかな。きっと訊いても答えてはくれない。

「パトリック…っ、」
息を乱して彼を呼ぶ。「五月蝿い、その声で呼ぶな」と唇を彼の唇で塞がれる。じゃあ、大佐の声だったら貴方の名前を呼ぶことは許されたの?ねぇ、今の私じゃ貴方の名前を呼ぶことすら許されないの?

(こんなにも、大好きなのに)

何時だって、本気で大好きだったのに、貴方は私を弄んで今日もまた帰って行くのでしょうね。
「んぅ…っ、あ…っ、はぁ、ん…っ!」
「中に出すぞ…っ!!!」
「あぁ…っ、!ん…っ、ぅ!」
びくん、びくん、と脈打つそれ。下半身には熱が駆け巡る。
つぅ、と涙が溢れる。悲しいよ、パトリック。
バレバレだよ、この行為には愛が微塵も含まれていないってこと。
「なんだよ、泣いてんのか…?」
上から見下ろす。私は直ぐ様仮面を貼り付けて答えるの。
「ん、生理的な、…涙よ…っ、」
その科白で誤魔化して。
貴方が、みっともなく縋りついてくる女性が嫌いなのは知っているから。
絶対に、涙は見せないの。

たとえ、どんなに心が「私を愛して!」と哭いていても。




2013.02.25

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