「……はぁ…っ、く、…っ!」
掴む手のスピードが早くなる。
惺が見ている、それだけで興奮は最高潮。AVの内容なんか全く頭に入らない。
(こう言うの、視姦って言うんだっけ…)
「…惺……っ!!!俺…っ!!」
(惺のナカに、いれたい)
欲望を抑えきれない。
さっきから熱は溜まるだけで解放など一向にされない。彼女のナカにいれない限り、この滾る熱は収まらない。
「惺…っ!!!惺…っ!!!」
情けなく彼女を呼ぶ。許してくれ、お前が欲しい、と。
しかし、惺はソファーから一歩も動いてくれない。
「も…!!だめ…だ…!!頼む…から…っ!!」
「へぇ、そうやってやめちゃうんだ」
「だ、だって、惺が…!!」
「おれは悪くないだろ。全部、」

―――ロックオンのせい。

ぎゅうう、と心臓が苦しくなる。
なんだ、これ、おかしくなっちゃいそうだ。
惺は俺の変化に気付いたのか、ゆっくりと近付く。
そして俺の前に立った。
「良いよ。出して」
にっこり笑った彼女を見た瞬間、

「…――――――っ!!!!!」

俺の理性は呆気なく崩れた。






「はあ、はあ、っ……」
肩で息をする。呼吸を整えながら惺を見上げた。
「…じゃあ、おれ…」と口を開く。
この冷めやらぬ逸物を早く入れさせてくれ、と彼女を見詰める。

が、

「帰る。」
「…へ?!」
思わず聞き返した。んな殺生な。
惺は無表情ではなく、不機嫌MAXな表情で俺を見下ろした。
「…なんだよ。」
「え…、いや…、あのう…」
自身を持ちながら彼女に目で訴える。
「おれがいなくても、その女で十分抜けるだろ」
「いや…!待てよ!」
まだ怒っているらしい惺。
俺は何とか彼女の機嫌を取る。
生殺しだけは回避したい。
「これはリヒティのせいなんだ!!」
「でも観たのは自分の意思だろ」
「そうだが…!!これには深い事情が…!!」
ギロリと睨まれる。「へぇ、他の女の行為を見ながら自慰したのは深い事情があるのか」と冷たく言い放つ。
もうこれは正直に言うしかない。


「惺に何処と無く似てたんだよ!!!」

「…………。」

「最近、してないし…。だから…」
惺は俺をジッ、と見据えていたが、視線を逸らした。
そして、小さな声で「何でAVなんだよ…」と呟いた。


「ちゃんと、言えば…、おれだって…」


惺は涙目だった。
(ああ、そうか…)
彼女は寂しかったのか、と今更ながら気付いた。
「おいで」と両腕を広げると、彼女は素直に飛び込んで来た。
「もう、やめろよ」
「ああ、もう観ない」
「約束だぞ」
「うん、約束」
ぎゅうう、と抱き締める。
やっぱりこの温もりが一番だ。
ゆっくりと惺を見詰めた。俺達は自然に見詰め合うと、静かに口付けを交わした。
「…なあ、惺…」
「なに…?」
俺は惺の指先を自身に這わせた。ドクンと脈打つ。
「これ…、お前が鎮めてくれよ」
一瞬だけ、惺は照れ臭そうにするが、ゆっくりと俺に口付ける。今度は激しいそれ。

「…いいよ」

ぽつり、と耳許で囁かれる。

(ああ…、俺は…!!)

そのまま耐えきれずに、彼女の服を脱がせた。











「あ、ロックオン!例のあれはどうでした?良かったっすか?」
後日、リヒティにブツを返しに行った。
「…ああ、これな…、うん。良かった」
「サンキュー」とリヒティに手渡す。彼は「どういたしまして」と返した。
「内容あんま見てないけど…」
「え?でも良かったって…」
「ああ、うん」
俺は頷いた。
「めちゃくちゃイイ仕事してくれたよ、それ。お陰で大満足」
俺の下で善がっていた惺を思い出す。
「でも、もう二度と要らないから」
「え、ど、どう言うことっすか!!!?」
「そーゆーこと!」
俺はリヒティを置いて歩き出した。
(つまりは、やっぱり惺じゃなきゃ駄目ってこと)
惺さえいれば、もう何も要らないや、と、俺はニヤニヤしながらブリーフィングルームに向かったのだった。





2012.09.15


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