「惺が帰ってきてない…!!?」

王留美の別荘に戻ってきた俺は愕然とした。どうやら彼女は俺と喧嘩し飛び出してから一度も戻ってきたてないらしい。
「雨も降ってるのに…!」
何処に行ったのだろうか。喧嘩して飛び出したから当然傘などは持って行っていない。
(雨宿りでもしているのだろうか)
だとしたら良いのだが。
(まてよ。)
惚れた贔屓目無しでも惺は十分魅力的だ。
俺のようにナンパにあっていたら?
俺のように怒りに任せてついて行ったら?
俺のようにホテルに行ってしまったら?
冷や汗が伝う。
(探しに行こう)
そう思って来た道を引き返そうとした時、
「やっと繋がった!何処に居るんだ惺!」
携帯端末に怒鳴り付けるティエリアが見えた。
駆け足で近寄る。
ティエリアは横目で俺をチラリと見たが、再び携帯端末に視線を戻す。
「濡れてるじゃないか!まだ外にいるのか!?」
「…うん」
「今から迎えに行く!近くに雨宿りして待ってるんだ!」
「…でも、ティエリア…」
「でもじゃない!いいな!」
ぶつり、と通信を切る。そして此方を睨み付けた。
「彼女が風邪を引いたら許さないからな」
その科白を「早く迎えに行け」と解釈した俺は、
彼女の元へと全力で向かった。


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