「はあ……?」
余りにもびっくりし過ぎておれは固まってしまった。
一晩中身体を重ねて合わせて、疲れて眠って、気が付いたら朝が来ていて。
ロックオンが見当たらなかったから、ああ、もう先に起きたのかな、とシーツを捲ったのだが。
「だ、誰………!!!!」

裸の、少年が、
ベッドで一緒に寝ていた。

刹那より年下っぽいその容姿。恐らく中学生くらいの歳だ。
「な、な、……っ!!!」
絶望を目の前に突き付けられた。
(おれは、見ず知らずの少年と寝たのか……!!!!)
ショックを隠せない。
だってロックオンを看病していて襲われて……、なのに別人と寝ていたなんてマジックがあって堪るか。
ロックオンに何て言おう。いや、こんな事、彼に言えるのか。言えない。
(最悪…)
せめて顔だけは拝んでやろう、と変な考えが過って、おれは身を乗り出して顔を見た。

のだが、

「え?」
(ロックオン、だよな?)
明らかに似ている。少し癖っ毛のその髪も、顔立ちも何もかも。
「な、なんで?」
こうなったら違う考えが浮かび上がる。
こいつはロックオン本人で…、変な風邪引いた影響で身体がちっさくなった、とか…、
(ないないないない)
馬鹿馬鹿しい考えを振り払う。流石にそれは無いだろう。非現実的だ。もう一回言おう、非現実的だ。
「ん…っ」
(!!!!!)
おれの気配を感じ取ったのか、目をごしごししながら動き出すロックオンっぽい少年。
ぱちっ、と瞳が開かれるが、日の光に目を細める。
「惺…?」
と、聞き慣れた声よりワントーン高い声が、おれを呼んだ。
ここでやっと確信した。
「お、お前、ロックオンなのか」
「ロックオンなのかって…俺は俺だぜ?…どうしたんだよ惺……ん、あれ?お前、いつの間に背が高く…」
と、自らの異変に気付いたらしい。
「なんで!!!!」
「知らねーよ!おれだって訊きたいよ!」
信じられないのか、自分の身体中をペタペタと触って確認するロックオン。
喉仏を触り、
胸筋を触り、
下半身を触り、
「ない…!」
サア、と彼の顔から血の気が引いた。
「…なんでちっさくなったんだよ…」
「何か怪しい事でもしたか?」
「いや、そんなことは…」
「慰めてくれ」と、言わんばかりに抱き着いてくるロックオン。
(や、やめろ…っ。その容姿でやられたらシャレにならない…!!)
沸き上がる感情を抑制し、何とか平生を装って保つ。
「あー…もう最悪」
そんな声を聞きながら、どうしようかと悩む。
(と、取り敢えず、服を着せようか)
「ロックオン、服を…」
「そんな気力無いよ…。惺が着せて」
(…………。)
何時もなら嫌だと言うところだが、状況が状況だし、彼も相当ショックだろうから、手伝ってあげる。
ベッドから降りて脱ぎ散らかされた服を掴む。
(着替えはあっちだし…取り敢えずこれでいいか)
「ロックオン」
と、振り向く。
が、
「…どうした?」
彼の瞳が変に泳いだ。
「…惺こそ…、服着ろよ…」
「ああ、そうだな。だけど別にこんなの…」
見慣れてるだろ(と言ってしまったら女性として如何かと思うが。)
おれの心境に気付く事なくロックオンは再び視線を泳がす。
「ち、小さくなったから、」
「うん」
途切れ途切れな彼の言葉をしっかりと聞く。
「惺が、」
「うん?」
「……凄いえろく見える」
「…………はあ?」
余りにもふざけた返答に、素っ頓狂な声が洩れた。ロックオンは「言ってしまった…!」と顔を赤らめてそっぽ向く。
「お、前…」
何時もなら責める言葉を吐き出すのに、目の前の儚い少年(見た目は)にそんな事言えるはずもなく…。
「惺?」
(〜〜〜っ!!!!)
キョトン、とおれを見上げるその姿に、胸の奥が張り裂けそうになる。
(やばいやばいやばいやばい)
こう言うの、ショタコンって言うんだよな。おれ、そんな趣味があったのか…?いや、だって刹那と一緒にいてもそうは思わなかったし…。
「惺、」
思考を遮るかのように、ロックオンの声。
そして、此方を見上げたまま、満面の笑みをにっこり。

「ここ、」

と、触れて。

「濡れてるよ?」



(あああっ!もうだめ…っ!!!!!!)


おれはそのロックオンの華奢な身体を押し倒し―――――…














目が覚めた。
目の前にはスヤスヤと眠るロックオンの姿。今度はちゃんと大人だ。
頬をつねる。良かった、本物だ。
「…やっぱり」
こっちのロックオンが一番だよな。
確かめるように彼の胸に抱き着くと、ぶるりと彼が震えた。
「惺、」
(ん、起きてたのか)
「なに?てか、風邪治ったのか」
「……ああ…うん」
ロックオンは適当に答えると、暫し考える。
「お前さ、めちゃくちゃ魘されてたぞ…?」
「え、」
ぎゅっと、抱き締められて、


「すっげー、エロい声で」


と、耳許で囁かれる。


「俺が言いたいこと、分かるよな?」
(まさか。)
さあっ、と背中に寒気が。
「お前のせいだからな」



おれ達は再びベッドへと沈んだ。





Thanks!!!
2012.05.08


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