『なあ、ライルー…』
「何だ?って酒臭っ!!酔ってんのか!?」
『酔ってなーいー。ね、こっち見て?』
「やっぱ酔ってる!」
『酔ってないっつーの。うら』
「わっ!そこは触るな!!」
『じゃあこっち見て。おれのこと嫌い?』
「き、嫌いな訳ないだろ…!!」
『ほんとお?』
「本当ですとも!」
『証拠は?』
「証拠、だと…!!?」
『だって最近アニューの方ばっか行ってンだろ、お前』
「そうか…?」
『おれが嫌いだから避けてンだろー…』
「違います」
『アニュー美人だもんなぁ…。惚れた?』
「いや、何でそうなる」
『おれなんか到底アニューには及ばないよなー…』
「アンタ一回鏡見て来い。十分美人だろ」
『ほんとお?』
「ああ、本当」
『ライルは美人すき?』
「ああ、好きだぜ」
『じゃあー…』
「うん」
『ライルはおれとアニューどっちが好き?』
「は?!」
『なぁ、どっちー?』
「すッ!擦り寄るな!胸が当たってる!!」
『じゃあ答えろ』
「そう言われても…!!」
『やっぱりおれのこと嫌いなんだ』
「違う!断じて違う!これには深い訳が!」
『そうやって何時も理由付けて逃げて…大人って汚いな』
「アンタ24歳だから大人だろ!」
『おれは例外』
「じゃあ俺も例外にしろ!」
『ライル煩い』
「誰のせいだよ…」
『あ、ティエリア』
「おい待て。散々人を困らせておいてティエリアが来たらそっちに行くのかアンタは」
『うん、だってライルはっきりしないンだもん』
「い、いや、それはアンタが…」
『ティエリアー!!!!』
「逃げた!!ちょ!ティエリア!そっち行ったぞ!」
「っ!!!な、なんだいきなり抱き着いて…!!さ、酒臭い…」
『ティエリアすきー』
「分かった分かった」
『なあー、ティエリアはおれとアニューどっちが好きー?』
「愚問だな。君に決まってるだろう」
『!!!』
「君は僕の特別だ」
『ティエリアーっ!!!好き好き好き好きー!!!ライルとは大違いっ!』
「失礼な」
「でも良い子にしていたらもっと好きになる」
『ほんとお?』
「ああ。本当だ」
『なら!おれ良い子にしてる!』
「偉いぞ。ほら、こっちに来い」
『はーい!』
「……俺、なんか、負けた気分…」
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