下ネタ第五弾



「飲むんだ」

刹那の低い声が聞こえたのは、あの魔の場所。此処で盗み聞きするのはこれで五回目だ。いい加減学習して早とちりしないようにしたいところである。
「やだ、苦い…っ」
が、彼女の妙に色っぽい声を前にすると、どうしても疑いたくなる俺の気持ちも理解して欲しい。
出来るだけ壁に耳を近付けて様子を伺う。
「飲めと言ったら飲め。お前は今の立場を理解してないようだな」
「……だって、…なんであの白いのはあんなに不味いんだよ…っ」
「仕方無いだろ。それとも俺が口に突っ込むか」
「…………。」
「ほら、嫌ならちゃんと持って…」
優しげな刹那の声。
どうやら、彼女は何かを持たされて苦くて白い何かを飲まされようとしているらしい。卑猥な考えが過るのは俺だけなのか?いや、だってご無沙汰だし…。最近忙しかったし…。
じゃなくて!
「やっぱ苦いのやだ」
「飲まないと終わらないぞ」
「…………」
「ほら、しっかり掴め。…大丈夫、すぐ終わる…一瞬だ」
「ホントに?」
「ああ。」
「じゃ、じゃあ…」

やっぱり耐えられませんでした。
「浮気だろぉぉぉぉぉ!!!!!」


「……………」
「……………」
彼女の右手にはコップ。
刹那の手には白い粉――つまり薬。

「けほっ、けほっ…、なんだよロックオン」


どうやら風邪だったらしい。



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