静臨前提臨也受け



「でね!そしたら、シズちゃんがもう俺の家に来んなって言ってきたんだよ?酷くない?明らかにシズちゃんが悪いのにさぁ。俺は悪くないよ。ね、ドタチン?」
「……」

ね、と軽く首を傾げながら、同意を求められる。首を傾げる臨也はとても可愛い。可愛いのだが、臨也は俺にどう答えろというのだろうか。
臨也に静雄との喧嘩についての愚痴を聞かされ始めて三十分以上は経った。いつも繰り広げられている二人の喧嘩(というには少々度が過ぎているが)の愚痴を臨也は毎回毎回俺に話してくる。もちろん、一方的にだ。

「それなら、僕の家に来たらいいですよ」

不意に割り込んできたまだ幼さを感じさせる声に俺も臨也も振り返った。立っていたのは、童顔の少年。にっこりと笑う彼の顔は臨也の方を向いていた。

「あ、ずるいぞ帝人。臨也さん、俺のとこに来てくださいよ」

帝人の言っていることを理解している間にひょいと顔を出した紀田が負けじと臨也を見つめて言う。

「ちょっと正臣。僕が先に言ったんだからね」
「順番なんか関係ねぇよ、決めるのは臨也さんなんだから。臨也さん、どっちの家に行きたいですか?」

まだ一言も喋っていない臨也をそっちのけにして着々と話を進めていく少年らにさすがに臨也が止めた。

「ちょ、あの二人とも?」
「?」
「どうかしましたか?」
「いやいやいや、どうしたも何も俺、君たちの家に行くなんて一言も言ってないんだけど」
「だから、いま決めてくださいって言ってるじゃないですか」
「どっちがいいっすか?」
「いや…だから、どっちの家にも行かないってば」

珍しく臨也が押され気味にやんわりと帝人と紀田の二人からの誘いを断った。
ガックリと肩を落とした紀田が隣にいた俺にいま初めて意志を向けた。

「…こんちわっす、門田さん」
「あ、す、すみません門田さん。こんにちは…」

紀田に続き、帝人が焦りながら小さくお辞儀をして、挨拶をしてきた。今更かと内心では苦笑するが、あぁと短く返事する。そして、それとなく臨也の愚痴を聞いていたということを伝えた。普通ならば、とくに必要はないのだが二人の視線がまるで臨也と何をしていたんだと訊いているよう(実際にそうなんだろう)だったからだ。

「ほんっと、最低!単細胞で馬鹿なくせに俺のことを家から追い出したんだよ?せっかく、いつも一人でジャンクフードばっかりしか食べていないであろう、かわいそうなシズちゃんのために俺がわざわざエプロンまで持参して晩御飯の準備をしててあげたっていうのにさ、家に帰ってきて俺の姿をみた途端に帰れだって。酷いと思わない?そりゃ、許可も無しに勝手に鍵を開けて家に上がってた俺も悪いかもしれないけど、晩御飯にするかお風呂にするかとかくらい訊かせて欲し」
「ストーップ!」

静雄の名前を聞いて、思い出したのか先ほど何度も聞かされたことをまたもやぺらぺらと喋っていたのだが、それを紀田が遮った。

「…なに」

臨也は言葉を遮られ、少しばかり気に入らなかったのか短く紀田に何事かと問う。

「い…臨也さんがエプロンを…?」
「それも気になるけどツッコむところが違うよ正臣」
「悪い。…臨也さん」
「だからなに」
「それは、臨也さんが静雄さんの家に晩御飯を作りに行ったってことっすか…?」
「うん、そう言ったじゃん」

何を言っているんだといいたげな臨也に明らかな好意を抱いている二人が顔を見合わせた。
そして、意を決したように二人の少年は口を開いた。

「…あの、」
「前々から思ってたんっすけど、」
「「臨也さんと静雄さんってどういう関係なんですか?」」

さすがは親友というべきか。ずいっと身を乗り出して息ぴったりに臨也に疑問を投げかけた。

「…は?」

臨也がそう声を上げたのと同時だったと思う。長身の男が臨也の肩に手をまわしてグイッと自分の方に寄せた。

「コイツは俺のモンだ、何か文句でもあんのか」
「し、シズちゃん!?」

あるのかと一応疑問系だったが返答を聞くつもりはないようで、そう言った直後ひょいと軽々しく臨也を持ち上げて担いだ。驚く臨也をよそに背を向けたままひらりと静雄の片手が上げられ、振り返ることなく人ごみに紛れていった。臨也は、降ろせと騒ぎながらちらりと助けを求めるように俺の方を見てきたが、苦笑いしか返してやれなかった。

横にいる二人の少年は静雄が相手だとわかり、どうしようもなさに落ち込んでいるようで。
かわいそうな彼らの話でも聞いてやることにしよう。





少年たちの小さな恋









リクにおこたえ出来ている…のでしょうか?気に入らなかったらすみません><
リクエストありがとうございました!








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