全部あの人と同じにしたがる君と、君は君でいてほしい俺が、小さな一つの空間にいる。
ちょきちょき。はさみを動かす音を響かせて。


「何してるの」
「見てわからないか?前髪を切っているんだ」
「どうして?ちょうどいい長さじゃないか」
「馬鹿言え。雷蔵はこれより短いんだ」
「…ふーん」


切る度に落ちる君の髪の毛を見つめながら、目を伏せる。
ちょきちょき。はさみを動かす音が、全部あの人と同じにしたがる君と、君は君でいてほしい俺がのいる小さな空間に、閉じた瞼に問いかけるように響く。


「細胞も全部雷蔵と同じになればいいのになあ」


ぽつぽつ。見えない涙と聞こえない嗚咽が俺の心の中で響く。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -