行き先もわからずにただ手を繋いでた

新婚旅行



「ごめんなさい……迷ったみたい……」
「そんなことだろうと思った。こっちだ」
「え、赤司くん道わかるの?」
「ああ。ここからなら20分もあれば着く」
「酷い……なら道間違えた時教えてくれてもいいじゃん……」
「今日は自分が先導するんだと張り切ってたのは名前だろ。僕はその意志を尊重しただけだ」
「うぅ……」
「ほら、いくぞ」
「うん……赤司くん?」
「手」
「て?」
「僕が前を歩いたらどうせ迷子になるだろう?手を出せ。繋ぐ」
「ならないよ!わっ」
「僕に頼らずやりきろうとした気概と努力は認める。だけど名前は馬鹿なんだから、僕の言うことには黙って従え」
「そ、そんなことないもん。私そんなに馬鹿じゃいよ」
「飛行機のチケットの取り方が分からなくて僕にまかせきりだったくせに」
「うっ」
「着いたら着いたでホテル内を散歩してくると言って迷子になったな。結局二時間帰ってこなかった」
「ぐっ」
「それに、昨日レストランで言葉が通じなくて僕に泣きついてきたのは誰だったかな」
「うぅ……」
「無事日本に帰りたいんだったらこの手を離すなよ」
「……はい」
「あといい加減赤司くん呼びをやめろ。僕はもう苗字征十郎だ」
「赤司名前になりたかった……」
「それだと永遠に名前で呼ばないのは容易に想像がついたからな」
「……元・赤司くん」
「その口塞ぐぞ」









from.寡黙




「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -