「ねぇねぇ藤!保健室行こうよ保健室!ハデス先生って見た目が強面ってだけで本当は優しかったんだね!」


「……」


「ねぇお昼休みも保健室行く?行くよね!藤いっつも郁ちゃん達と行ってるもんね!着いてっていい?静かにしてるから!ね?」

「……」


「あとそれから……ってどしたの?ゴキゲンナナメ?」


「…別に。お前の話流すくらいザラだろ」


「えー?まあそうだけど今日はいつもより悪い感じっていうか…あ、でもいつも話流すのもちょっと駄目なかんじも……怒ってる?」


「…胸に手ぇ当てて聞いてみたら」



「……」



「……」



「……」



「……」



「…な、なんにも返事返ってこないよどどどどうしよう!」


「いやマジで物理的に聞けってんじゃねぇよ言葉のアヤだよ!!!!」


「え、えー?……あっ、もしかしてこないだ藤のお弁当の黒豆こっそり食べちゃったから?それとも鞄にゲジゲジのオモチャ入れたこと!?それとも藤の部屋の箪笥の中の服全部裏表反対にしたこと?もしかしてあれ?それともこれ?どれにそれにひょっとしたら…」


「いやもの凄え聞き捨てならないんだけど!!!!おまっ、あれやこれやも全部お前のせいかよ!つーか俺も気付けよ!」


「あ、あれ…?違うの…?」


「ああ…っつーかさっきのもまた後で問い詰める必要が…」


「えーじゃあ私凄いソンしたあー!くそー!
でもじゃあ何でそんな怒ってるの?」


「(コイツ反省っつー単語知ってんのかな…)
あーえーとその、」


「なになにーっ?」


「だっ、だからぁ!オ、オレらその……付き合ってん、だろ?」


「? うんー」


「だったらさーその、藤、って呼ぶの?おかしくね?」


「えー何で?藤は藤でしょ?別の呼び方ってこと?」


「ま、まあ……………そんなとこ」


「うーんそうだなー、ふじ、ふじろくすけ、ふじろ、……」


「………、」


「ふじ、ふ、ふ……あっ、じゃあ『麩』は!?または『お麩』!」


「なっ、おまっ、何でそうなんだよ……」


「えーなんでー!お麩って可愛いし美味しいでしょ?マリフがいい?」


「何で俺の呼び方に美味しさを求めるんだよ」


「じゃあかぼちゃとか?わかめ?薄揚げ?お豆腐?マルコメ?」


「…味噌汁関連に成り代わってるぞ」


「だめなの?じゃあ苗字と名前両方から『おフロ』!」


ピシッ


「だ、だからァ……名前で呼べっつってんだよ『麓介』って!だぁ〜〜も〜〜〜!!!!」



お味噌汁のはなし




「えー!」


「お前アシタバにも美作にも呼んでんじゃねーかよ!」


「美っちゃんは苗字でしょ!郁ちゃんは可愛いもん!」


「どんな理屈だよ!」


(ただ名前で呼んでほしいの!)



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