「どぅわっはぁああああっ」
そう叫ぶと、みょうじは、びょーんと効果音が付きそうなくらい高く飛んだ。
高く飛んで、両手広げたそいつの顔はえらく幸せそうだった。
その瞬間、
「ぅげばっ」
顔から着地した。
「お前バカだろ」
階段一番上から飛び降りる奴みたことねえよ。
ステルンベルギア
「はい、これで大丈夫。それにしても今日はまた大胆に怪我したね」
「学習能力ねーんだよコイツ」
鼻を打ったのか、ハデスに手当てされている間みょうじは「ふごっ」だとか「あ、いたいいたふがっ」とか漏らしていた。かくいう俺はベッドで今朝買ってきたジャンプの読書中。
「いやぁー初登場はハデにカッコいいとこ見せようと思って!あと藤はジャンプ読みすぎて死ね!」
「どうやったらジャンプ読みすぎて死ぬんだよ。あと初登場とか言うなよ」
「キャラ立ちは大事なんだよ」
「めんどくせぇえええ意味通じてねぇえええ」
「もうヌチャヌチャうっさいなー藤は小姑かよ!」
ヌチャヌチャって何だ気持ち悪い。
「あ、そうだ、今お茶入れるね…」
「いいよ先生!もうすぐ授業始まるし!お茶ならあっついのを藤にぶっかけといて」
「何でそうなるんだよ!」
みょうじは毎日のように怪我するから(全部さっきみたいなのが原因)、ハデスの顔には慣れている。ていうかあいつの顔最初にみたときから「ホラー映画とコメディ映画一度に見られる顔でおもろい」とか意味不明なこと抜かしてたし。
「そうだね…ちょっと残念だけど…勉強頑張って来てね」
「うん多分ねー」
多分どころか授業中頑張るのは周りにちょっかい出すくらいだろ。
思ってちらりと帰ろうとするみょうじの後ろ姿に目を向けたら、
びたんっ
「うばっ」
またこけた。