「奥村先生」
「…今は学校だから『先生』はやめてね」
「えー…私無理ですよ同じ人なのに呼び方変えるとか。どっちかにしてください」
「そんな事言われても…」
「えーあーじゃあ学校ではゆっきーで」
「(ゆっきーだったら使い分けれるのか)」
「塾ではゆっきー先生で」
「えっ…そ、それはちょっと…さすがに」
「さすがに何すか。可愛らしくていいでしょ?それとも何ですかしえみっちにはちゃん呼び笑って『可愛いですね(裏声)』とかいったクセ私はちょっとさすがにですか。さすがになんですか気持ち悪いですか?泣いちまうぞコノヤロー」
「えっ…ていうか何でそんなこと知ってるの!」
「苗字様の情報網を甘く見てもらっちゃあ困りますな旦那」
「(兄さんか…)」
「いいじゃんいいじゃん。あ、それよか学校のあだ名も『先生』にしちゃったら?ねえみんなー!今日から奥村雪男君のことは先生呼ぐおぇっ」
「わああああああ!」
「…奥村君?どうしたの?」
「えっ、あ、いや何でも「ぶぁっはぁ丸井さんあのねこの人せダブァッ」
バシィィィィン!
教室中に分厚い教科書で頭を叩く音が轟いた。「はぁっ、はあ、はあっ…」
「あ…あの、雪男君…?」
「えっ、あっ丸井さっ………!」
普段激しい感情の変化を見せない雪男の、つい先ほどの行動を見て、教室の生徒達は揃って重苦しい空気の中思った。
――この人怒らせるとこええ!
「その…苗字ちゃん大丈夫?」
「ああ、多分…ちょっと気絶してるだけだと思うから…」
「(それ大丈夫なの…?)」
当の雪男は、やりすぎた、と泡を吹く苗字を見やりながら、引き吊った笑みを張り付けるしかなかった。
それからクラスメイト達の雪男への態度が一変したのは言うまでもない。
「なんでみんなゆっきー見ながらそわそわしてるの?」
「……君のせいだよ」
「え?何て?」
「…別に」
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毎度ですがオチないです。
雪男君実は先生って呼ばれるの恥ずかしいんだよみたいな話が書きたかったんですけどね。過去形。
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