「僕は一生涯を掛けて君を愛することを誓うよ」


それは彼が私にいつも向ける愛の言葉で、その類の一つだったけれど、その時だけはレンズの奥に隠された瞳が真髄さを訴えるように首が存在しない私を真っ直ぐ見つめていた。

いつだって彼はそう。

そこに在るはずのないものをまるで本当に見えてるかのように接してくるから、時折私には彼にしか見えない首があるのではないかと錯覚を起こしてしまいそうになる。

首のない私だからこそ、彼は愛してくれるのに。


「でも君はそんな必要はない。悲しいことに僕は人間で、君は麗しい妖精だ。僕が死んだ後も君は変わらずそのままの姿で存在し続ける」


だから、と言葉を紡ぐ彼の顔は私だけに見せてくれる純粋無垢な表情で、優しくて、どこか寂しそうだった。

嫌だ、聞きたくない。

耳を塞ぎたい衝動に駆られても、今の私にはそんな器官は無く、唯一言葉と言葉で通じあえる機械をきつく握り締めることしか出来なくて。

訳も分からず震える身体を包み込むその体温が余りにも温かみを持っているから、これが夢ならばと願っても酷なこと。


「僕がいなくなった後も、君は他の誰かを愛することができるんだよ、セルティ」


『死』という避けきれない現実が、私と彼を分かつ何にも置き換えられない明確な事実であることに、きっと、彼よりも私の方がずっと分かっていて。


きっと誰より分かりたくなかったことだったと。


流れるはずのない涙を感じて、思った。



fin.



新羅が死んだらセルティはどうするんだろう…


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