クールな人はいつの時代でもモテるものだ。
タクトは頬杖をつきながら目の前で所謂恋バナとやらを繰り広げているクラスメートをぼんやりとながめつつ、そう思う。
そこでは専ら同じくクラスメートであるスガタの話題で盛り上がっているのだ。
正直、あんまり心地よいものではない。
ただし、その心地悪さは目の前で自分ではない誰かの話をしているという妬みの類からの物ではなく、一種の独占欲のような物なのだが。
(スガタは、僕のなのに。)
自然とわき上がる醜い感情を抑える事も出来ず、机に突っ伏した。
けれど、トントンと控えめに背中をノックされ、それすらもままならない。
仕方が無いので作り笑顔を貼付けて振り向き、それから目を見開く。
「どうしたんだ?」
と、ふと唇から紡がれた音に寄り添うように近づいて、その唇に自分のを合わせたくなる衝動に駆られる。
それから気が付けば彼のネクタイを引っ張っており、距離はゼロ。
先ほどまでスガタで盛り上がっていた彼女達を前にして思いっきり、キスをしてやった。
驚いたように目を見開いたスガタは、しかしすぐに普段の調子を取り戻して舌を口内に侵入させてくる。
その反応に口角を上げ、タクトからももっと舌を絡めようと積極的に口を開けるのだから、目の前で離していた女生徒が悲鳴を上げた。
「っん…う、ふぅっ……」
甘い声色が頭に響くけれども、押さえる事は出来ない。
けれども何故か今は羞恥など湧かず、ただただ優越に酔いしれた。
チラリと横目で彼女達に視線を送れば口をポカンと開けたまま硬直している姿が見える。
「んあ、……すがたぁ……」
そっと名を呼べば、彼も了承したのか唇を離してくれた。
はぁ、はぁと荒い息が溢れてて仕方ないのでネクタイから手を離してそのままもたれ掛かる。
しかし、タクトは気付いてしまったのだ。
顔を離す代わりに身体をすりよせ立ち上がり、耳元に囁く。
「ね、どこか行こうよ」
その言葉にスガタは頷くより早くタクトの手をひき教室から出た。
そしてたどり着いたのは、タクトが良く知らない部屋。
「ふうぅっ……はぁっ、あっ」
そこで再度荒々しく口付けられた。
そして水音が響いている中で、すっと手がシャツの端から差し込まれる。
「まったくタクトは。いつもなら自分からキスなんてしないくせに。あまり僕を煽るんじゃない。」
そっと瞳を開けば、タクトの瞳には普段より余裕の無さそうなスガタの表情が映った。
「んん、だって,スガタは僕のなのに……っあ、」
そしてキュッと乳首を抓られて小さな嬌声が漏れる。学校なのに、などという気持ちはとうにない。
「だから、僕を煽るなって。だいたい教室でキスなんかして……後でどう言い訳する気だ」
それはスガタも同じらしく、小言を零しつつもその瞳は優しくタクトを見つめていた。
「後の事は後で……ね、スガタ。僕を安心させてよ」
それがどうしても嬉しくて、そっとスガタの頬に手を沿えて強請ればもう一度唇を塞がれる。
その間にもスガタの手はズボンへと伸ばされ脱がされて性器を愛撫し始めていた。
「っんん、ふ、ううんっ」
塞がれたままの唇からは甘い音が漏れてしまう。
「安心って、こういう事でいいのか?」
が、その唇は直ぐに離され、変わりに耳元に寄せられた。そして囁かれた声にふるりと震える。
「っん、いってよ…っあ、僕だけだってさ……」
それを隠しながらも懸命に紡げば目の前で微笑んだスガタはまっすぐに見つめてきてこういうのだ。
「好きだよ、タクト」
「っふ、んああ」
「誰よりも、ずっとタクトが好きだ。」
「んっ、もっと……」
「だから、他の人が僕の話をしてたからってヤキモチなんて焼かなくたって良い」
「っえ?」
しかし唐突にそう告げられ思わず目を見開く。そしてカァっと頬がほてり始めた。
スガタにとっくの昔にバレていたのだとは露ほども思わなかったのだ。
一人でヤキモチを焼くのは良い。だけれどもそれを本人に知られると言う事ほど恥ずかしい事はないだろう。
「何で、っあ、知って……!」
下腹部でうごめく掌に言葉を詰まらせながらも必死で聞けば、なんとも勝ち誇ったような笑みを浮かべたスガタが見えた。
「なんせ僕はいつだってタクトを見てるからな。」
チュッと額に口づけられて気を抜いた隙に次は秘部へと指を突っ込まれる。
「っあん!ふう、じゃあ、僕がキスした意味も、」
「知ってたよ。だから、可愛いって言ったろ?」
ぐちぐちとイヤな音を立てながら入り込んでくる指は何度この行為を行っても慣れる事は出来ないとタクトは眉根を寄せた。
そうすればスガタは空いた手でタクトの性器への愛撫を再開し、直ぐに苦しさを取り除いてくれる。
それどころか良い所を擦られ反射的にビクンと背がしなった。
「っあ!あっ、言われてなっ、……」
「それは悪かった。可愛いよ、タクト。今も昔も、それからきっとコレから先も。」
そして遂にグチュ、という音と共に入り込んできた彼自身に歓喜した身体はギュウギュウと締め付け喜びを伝える。
「っあああ!はぁん……ふう……んあ」
「なぁタクト。」
心なしか擦れているその声さえ愛おしく感じてそっと首へと腕を絡めれば、最奥へと到達した姿のそれにのけぞった。
「んああ、なに?すがたぁ……あっ」
それから耳元で囁かれた言葉に再度目を見開くと、タクトもまた耳元で囁くのだった。
LOVE&ENVY
奏様へ捧げます!
素敵リクエストありがとうございました。
110320