「みかど、みかど!」
「ん?どうしたの?」
返事。ただし視線はパソコンの画面を見つめたままで。
せっかくハイパースーパーセクシーでかっこ良くてちょっとナンパで素敵な大親友兼こ、こ、こいびと・・・であるこの俺がわざわざ来てやってるっていうのに、だ!
これは幾ら何でも失礼だと思わないか!?いや、確実に失礼だ!
そしてこちらを向かせる為に未だにパソコンから視線を逸らそうとしない帝人にムギュ、と抱きつく。
「むー、みかど!」
「どうしたの正臣。もしかして僕不足?」
パチパチとリズミカルな音を奏でながら何かを熱心に打ち込んでいるらしい帝人は尚も視線を逸らさない。そんな帝人に少し不安になる。
本当は俺だけが好きで、帝人は俺の事何とも思ってなくて、それどころか鬱陶しい、とか思ってたら。
そう言えば好きだっていったのは俺だけで、しかもその好きがどの好きかも言ってなかったかもしれない。
もしかしたら帝人の好きは親友としての好きで、俺の持っている感情とは違って、今抱きついてるのだって親友同士のスキンシップだと思ってたら。俺もしかしたら一人歩きしちゃって「正臣?」
「うおぅ!ど、どうした?」
少し考え込んでしまっていたらしい。
いつの間にかパチパチという音は聞こえなくなっていた。そして視界いっぱいに帝人の顔。
そこには心配そうな表情が浮かんでいた。
「どうした、じゃないよ。何考え込んでるの」
待ち望んでいた視線なのに純粋に喜べない。
「えっと、あ、いや・・・・」
思わず目を逸らす。
「僕に言えない事?」
ブンブンと首を振れば、じゃあ何?と催促する。真剣な目。そして、俺の逆らえない目。
「おれさ、ちょっと不安になったんだよな・・・・」
帝人の反応を見ながらポツリ、ポツリ、とこぼす。うんうん、と頷いている帝人に少し安心しながら続けた。
「俺は帝人が・・・・・・好き、なんだけどさ、お前はあんまりその、・・・・・好きとかっ、言ってくれないから、俺だけが帝人のこと好きなのかなって・・・・それでその・・・・」
「不安になっちゃったの?」
コクコクと頷けば帝人はやはり真剣な顔で口を開いた。
「まあ、あながち間違ってないかな?正臣は僕の事好きな事は知ってるけど。」
「やっぱりっ・・・・!」
帝人の言葉に涙がにじむ。やっぱり俺の早とちりだったんだ、と悲しくなった。思わず下を向く。
すると、頭頂部に暖かみを感じた。
ちゅっ、というリップ音に顔を上げると優しい微笑みを浮かべる帝人。
「なーんてね、そんなこと言うわけ無いでしょ?僕は正臣に言葉という形で直接言わなくても伝わってるかな、と思ってたんだけど。」
そこで言葉を切った帝人。そして俺の両脇に腕を通したと思った時には既に引き寄せられていた。
「うえ?ちょ、帝人!?」
「さっき、僕不足?って聞いたけど、あれ訂正ね。」
「は!?」
「僕じゃなくて、正臣だった。僕が正臣不足。だから、さ。」
一旦言葉を切ってすぐ近くにある顔が微笑む。
「しばらく正臣を充電させて?」
「っ・・・・!」
ああ、顔が熱い。だからきっと顔とか真っ赤なんだと思う。
なんだか悔しくて、でも勝てないない事なんて分かりきっている。
だから、抵抗の代わりに思いっきり抱きついてやった。
ずるいから好きです
(ううううう仕返しだ!、帝人好き超好き大好き!)(・・・・愛してるよ、正臣)(ーーー〜っ!?)
帝人様はきっとどん底から正臣を引き出す事で正臣の心をさらにがっちり掴んでるんだって言いたかったんです。
帝人様に翻弄されてる正臣が好きすぎて辛い。
100530