勿論僕の唇で。
―――――――




パクっ

「んまーい!」

目を輝かせる正臣の手元には苺とコンデンスミルク。

「苺にはやっぱりコンデンスミルクだよなー」

白と赤のコントラストが綺麗なそれを指で摘まんでポイ、と口の中に放り込んだ。

「正臣、美味しい?」

正臣の向かい側に座り、柔らかい表情を浮かべている帝人は幸せそうな正臣に問いかける。

「おう!なんつかこう、ぱぁぁぁああって甘さが口の中に広がって、でもその中に酸っぱさが見え隠れするっていうか・・・。そう!これぞ恋の味っ!て感じたな。とにかく美味い!」

全身でコンデンスミルクと苺の美味さを表現する正臣。

「そっか」

そんな彼をみながら帝人は愛しそうに呟くと正臣が食べているのをじっと見つめた。
その視線に気づいたらしい正臣は首をかしげ、その後あぁ、と手を打つと上手に苺の上にコンデンスミルクを掛け、差し出した。

「ん、」

「え、何?」

「これ、食べたかったんだろ?」

くいっ、と苺の持って動かせば、かかっていたコンデンスミルクが指を伝った。

「だから、はい。」

机越しに差し出すそれは、器に入っている物よりも幾分か美味しそうに見えて。

「いいの?」

コクリと頷く頭を見て小さく手をあわせた。

「頂きます。」

パクっ、と苺をくわえる。最初に甘さが広がって、続いて甘酸っぱい苺の味が口内を満たした。

暫く苺を堪能した後、正臣の指までくわえていたことに気がつく。
すっと舌で舐めればピクリ、と動くそれ。面白くて上下に舐めれば指はピクピクと震えた。

「ちょ、帝人っ・・・!」

指を引き抜こうとする正臣の手首をがっちりホールドして、舌を絡めた。

「はなせっ、っん・・・」

顔を赤くして抵抗しても可愛いだけなのに、と心の中で呟く。なんと扇情的な表情をしているのだろうか。若干涙目になっていてもっといじめたくなる。

でも、少しキスしたいな、なんて思ったり。


一度現れた欲望は消えがたく、しぶしぶと指を離せばチュパッという音。
何よりその音が恥ずかしかったらしい。あうあうとパクパクしたあとムッとして上目遣いに睨んでくる。

「指なんか舐めて何が楽しんむ!?」


でも諭す声など聞きたくなかったのでその口を塞いでやった。














勿論僕の唇で。

(口を離したら今度は君から首に手を回して)(もっとってねだってよ)







ああああ、と。
良く分からなくなりましたが、私が言いたいことはただひとつ。

苺を指で食べてる正臣はきっと可愛い。


でした。










100526



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