「杏里、なんで杏里は杏里なのっ・・・!」
「えええっ、えっと、あの、それは・・・」
「相手にしなくて良いよ、園原さん。またしょうもない事言ってるだけだから。」
ヴーーーー、ヴーーーー、
突如震えはじめるケータイに無視を決め込む。この時間帯に正臣に電話してくる相手は一人しか居ないからだ。
「酷いぞ帝人!俺はただロミジュリごっこをだなぁ・・・!」
「はいはい、そう言うことはよそでやってね?」
「最近冷たい・・・!」
ヴーーーー、ヴーーーー、
既に一分は経過したであろうそれは未だに蠢いているが、やはり無視。
「冷たくないってば。」
「冷たい!実に冷たい!そんなに冷たいと泣いちゃうぞ!?」
両手を広げて思いっきりアピールした瞬間、帝人と杏里の顔はひきつる。
そしてポン、と肩に乗る何かに正臣の顔もひきつった。
「そんなこと言う君の方がよっぽど冷たいよねぇ?」
「臨也、さん・・・!」
「さっきからずーっと電話し続けてたはずだけど?なのに完全に無視なんて酷いなぁ。」
ケータイ片手ににっこり微笑まれ、嫌な予感がした。
「だいたい、どこの世界に兄からの連絡を無視する弟が居るのかなぁ?」
弟、というキーワードに帝人と杏里の元々丸い目が更に丸くなるのを見て、頭を押さえる。
「臨也さん、もう良いでしょう!?」
その言葉に満足そうに頷くと、初めて二人に目を向けて
「と、言うわけで借りていくよ?」
そのまま正臣の手を掴んで颯爽と去っていった。
ガチャ、と正臣の部屋のドアを開ける臨也。ダンッ、と壁に正臣を押さえつけた。臨也の顔が迫ってくる。キュッ、と目を瞑って口から声を漏らす。
「臨也、さんっ・・・?」
「お兄ちゃん。」
「は・・・?」
真剣な声で言い放たれ思わず目を開ける。
「だから、俺の事はお兄ちゃん、って呼んで。」
「いやいやいやいや、意味分かんないっすよ!?」
目を丸くする正臣に分かってないなぁ、と肩を竦める臨也。
いつの間にか臨也の両手は正臣の肩を離している。
「今日は何日?」
「21日っすけど・・・」
「そう!21日だ!"にい゛の日だ。お兄ちゃんの日!だから、」
とても良い笑顔を浮かべる臨也に寒気がした。
お兄ちゃん!
(ほら、臨也お兄ちゃんって)(い、嫌ですよ!)
変態な臨也ハァハァですよw
100521