※中学生の二人
――帝人!好きな人出来たか?
春、新学期が始まる頃。僕の幼馴染みは必ず電話をしてきていた。
「まさか。居ないよ。」
毎年変わらない返事。
――おいおい、華の中学生になっても女子に興味がないなんてお前くらいだそ?彼女の二人や三人パパッとつくっちまえよぉ!
「女の子に興味がない訳じゃないよ。それと、正臣それ浮気」
確かに女の子は魅力的。可愛いし柔らかい。
――まぁ細かいことは気にしたらいけないんだよ。
「細かくないと思うけどなぁ。ていうか、そういう正臣はどうなんだよ!」
――なんだぁ?聞きたいのかそうか!なら聞いてくれ。実はだなぁ!彼女が出来ましたー!
聞いてから後悔、なんて良くあることで。
「寒いよ」
声が震えてないかを必死に願う。
――まじで失礼だなお前。本当だっつうの!
「そう、おめでとう?」
――疑問形かよ!ありがとうな。
それからしばらくはぎくしゃくした会話を繰り返して、
――じゃあな!
「バイバイ」
と電話を切った。
そ、と電話を隣に置き、息を吐き出す。
「これでいい、これで。」
「正臣は僕以外と恋愛してればいい。今は、ね。」
「そして、いつか絶対」
きっと夢中にさせるから
(女の子よりも)(正臣の方がずっと魅力的なだけ)
帝人が黒くならなかった・・・だと!?
100423