ピピピピ、ピ、ピピピ
朝の静寂はいつも通り目覚まし時計の手によって終わりを迎えた。
「んう・・・?」
まだ眠たいと言う目を擦りながら時計を止め、グィーっと伸びをする。
そして携帯の時計を見た瞬間、少年の顔は晴れ渡った。
♀♂
「正臣、幸せそうだね。」
「わかるかぁっ!?今日はいい日なんだっ!」
満面の笑みで鼻歌を歌っている幼馴染みに帝人は尋ねた。
にやにやしている顔は有害そのもの―――良い意味でだが――だったのでたしなめようとしたのだが絡まれてしまう。
「そうなんだ・・・・えっと、4月20日?何かあったっけ。」
「あのなあのな!今日は・・・静雄さんの日なんだぜ!?」
「はぁ?誕生日??」
「いや、それはわかんないけど・・・ほら、420って、当て字にするとしずおってなるだろ?だから静雄さんの日!」
そう言って再び微笑む正臣。
可愛いけどその笑みを向けられてるのは静雄さんで。なんだか羨ましいな、とか思ったり。
帝人は複雑な気分で微笑み返した。
♀♂
帰り道、
「あ、俺今日は用事あるからここで!」
「静雄さんに会いに行くの?」
「・・・・うん!」
じゃあなぁー、と手を振って駆けていく正臣の背中は嬉しそうで。
「じゃあ行こうか園原さん」
「え、あ、はい。」
はぁ、と溜め息をついて、家の方向へ歩き始めた。
♀♂
(静雄さん、どこにいるかなぁ)
走りながら静雄を探す。
路地裏を覗きながら走る、とその時。
「あれ、紀田じゃねーか」
「ん?あ、来良の、」
パァァァ、と明るくなる顔。
「静雄さん!!」
ギュッ、と抱きつく正臣。
「あ?どうした紀田。」
「俺、先行くわ」
その光景にトムは何も突っ込まずにスタスタと歩いていく。
「え、ちょ、トムさん?」
「たまにしか会えねーんだからゆっくりしとけ。社長には俺から言っといてやんべ。」
「え、あ、はあ・・・・」
腹部に抱きついている正臣を抱き返せば、バッと顔を上げる
「静雄さん!静雄さん!知ってます?今日は静雄さんの日なんですよっ」
嬉しそうな声でそう告げた正臣は再度顔を埋める。
一方、静雄の方は理解できていないらしい。
「は・・・?どういうことだ?」
「あのですね・・・静雄さんの名前を数字に置き換えると420ですよね。」
ムギュっと抱きついたまま説明を始める。
「・・・まぁそうだな。」
「で、今日は4月20日です!」
「それで?」
「だから今日は静雄さんの日です!」
そう言って上を向き、ニコニコと笑う。
(まさかそれだけ・・・?)
静雄はしばし混乱する。
この少年は、日にちを読んだら名前になったから、というだけの理由で会いに来てくれた。そしてこんなに笑っている。それも、俺に抱き着きながら嬉しそうに。
なんと単純なのだろうか。
でも、
(この笑顔は間違いなく俺にだけ向けられてる。)
その事実だけで嬉しかった。
「そうだな、ありがとよ。」
「?お礼の意味がよくわかりませんが、俺、静雄さんが大好きなんです。だから静雄さんに関係することならなんでも幸せです」
単純で良い。そんなところがこの子の魅力の一つだ。そう思うのは俺だけだろうか。
「あぁ、俺も好きだぜ。」
そう言えばもっと笑顔になって。でも少し頬を染めて、
「嬉しいです」
だなんて。
(自分の名前が静雄で良かった。)
ガラにもなく考えてしまうのだった。
静雄さんの日っ!
(静雄さん、って呼ばれるたびに)(自分の名前が好きになる。)
誰だよこれorz
正臣のキャラが崩壊しすぎた。
いまだに正臣とシズちゃんのしゃべり方が把握できません。
と言うことで、静雄の日でした!
100420