※オリキャラ(?)注意。
学校からの帰り道。珍しく正臣と二人で歩いていれば何だか心引かれる匂い。
(あれ、なんだか良い匂い。)
くんくん、と鼻を動かせば思い当たった久しく食べていないあの匂い。
(あ、これって・・・・)
と、その時正臣の腕が腹を押さえるような動きをした、かと思うと
ぐううううぅぅぅ
「ま、正臣!?」
鳴り響く腹の音。
「ううぅぅぅ・・・・聞こえた・・・?」
「うん、ばっちり。」
「はああああ・・・・恥ずかし・・・な、どっか寄っていかね?」
首を傾げて問いかけてくる正臣。
(ほんと、これで無自覚なんだから困ったもんだよね。)
「あーうん。あ、じゃあ僕ちょっと行きたい所あるんだけどそこでも良い?」
「え、あ、うん。良いけど。」
「じゃ、行こうか。」
正臣の手を取り歩く。
「て、どこ行くんだよ?」
「行ってからのお楽しみ。」
そしてそのままアパートの近くの目的地の前で立ち止まる。
「え、ここ?」
「うん。ほら、入って。」
そう、ここは中華料理店。中華料理店と言っても高級なのじゃなくてもっとラフな感じの。うーん・・・イメージするならラーメン屋に近いと思う。
僕は正臣の背中を押してのれんをくぐった。
「おう兄ちゃん!いらっしゃい!久しぶりだなぁ。何にする?」
「あ、とりあえず餃子一皿と唐揚げで。」
「まいど!空いてる所適当に座りな。」
この店、実は穴場だったりする。来る客は常連ばかりだが、味は確かな物だ。これが
今はまだ5時前だからか人は多くない。迷わずテーブル席へとすすむ。すると、クイッと後ろから引かれる。
「なあ帝人、おじちゃんと友達なのか?」
「うーん、友達っていうか・・・・」
ストンと席に座る。勿論正臣を先に座らせてから。だってレディーファーストって大切だし。え、正臣は女の子じゃないって?そういう細かいこと考えたら駄目だと思うよ。
「帝人くんは常連さんなんだよ」
正臣の問いかけに答えたのはおじさんだった。餃子と唐揚げを置き、さらにカニ玉までを置こうとしている。
「そうそう。ここは美味しいから良く来るんだよ。・・・って、カニ玉は頼んでませんよ?」
「あぁ、これは俺からのプレゼントだ。貰っとけ。」
「あ、いやでも・・・」
「いいから、ガキは貰えるもんは貰っとくべきだぜ。」
「あ、りがとうございます・・・?」
「おう、気にすんな!」
そう言っておじさんは正臣に向き直る。
「えーっと、君が正臣くんかい?」
「え、あ、はい・・・」
ビックリしている正臣。そりゃ初対面の人に名前を呼ばれたら驚くだろう。そんな正臣をよそにおじさんは続ける。
「そうかいそうかい!帝人くんから良く話を聞いてるよ。金髪で耳にピアス着けててかわいい子だって。」
「ちょっと!何言ってんですかおじさん!」
「え、は、え、かわ、え?」
「はははっ!ほんと、可愛いなぁ!俺んとこの養子にくるかい?」
「笑い事じゃありませんよ、もう!」
「は、どういう、え?」
正臣は混乱しているらしい。さっきからえ、とかは、とかしか発していない。珍しいなあ、と思いながら正臣を見ると少し赤くなってる。
「ははは!まぁ気にせんで良いよ。じゃあゆっくりして行きな。」
最後に正臣の頭をクシャリとなでてから戻って行った。
「台風のような人だ・・・・」
ボソ、と呟く正臣。偶然だ、僕も今それ言おうとしていたよ。
「とにかく食べようか。」
そう言って箸を渡せば顔中を綻ばせている正臣。うん、可愛い。
「うまそっ!頂きます!」
パクっ
「なにこれ旨い!旨いぞ帝人!!」
ほら、と言って差し出される餃子。
うーん、餃子食べるつもりで来たけど、どっちかと言うと正臣の方が美味しそう。あ、勿論餃子も食べるよ?だってせっかくの正臣のあーんだもの。
パクっ
「あ、本当だ、美味しい。」
「だろっ?」
嬉しそうに笑う正臣を少し困らせたくなって。
「正臣にあーんして貰ったからかな?」
「っ・・・!!」
「ね、もう一回食べさせてよ?」
少し声を低くすればフルリと震えるまつげ。
「ほら、早く・・・」
「ーーーー〜〜っ!一回だけだからなっ!」
そう言って差し出された餃子。思いっきり顔を背けて真っ赤になってて。
パクン、ペロンっ
「ひゃぅッ!?」
食べるついでに指も舐めてやれば震える指、うわずった声。はは、やっぱり可愛い。
「うん、美味しい。」
そういってにっこり微笑んでやれば目を見開いて口をぱくぱくさせて。
そっぽを向いて
「・・・・・バカ」
だなんて、やっぱり狙ってるとしか思えないよね!
あーん、って
(食べちゃいたいって耳元で囁いたら、)(ペチッて殴られたけど。)
餃子を食べたいのは帝人じゃなくて私です。
ついでにあーんとかやらせてみました!
そしてバカって言わせたかっただけ感が否めない。
しかしオリキャラのおっさんが無駄にうざい件w
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