不毛な関係
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※臨→静前提臨←正です。正臣片思い。
※微裏?いや、ガッツリ?


ギシッ、ギシッとベッドの奏でる不協和音が部屋中に響く。
しかしベッドの上に居る二人はそんな事を気にする事なく行為を続行した。


「あ、っあ・・・・いざ・・・・さ・・・・!」
「黙りなよ、紀田正臣。」

冷たい視線と声に身体を震わせた正臣は必死に声を押し殺す。
その様子を変わらず冷めた目で見ていた臨也は最奥をめがけて思い切り腰を打ち付ける。



「っっっ!!」
「っく、」


その反動で声を出さずにイった正臣の締め付けに耐えきれず、己の欲望を正臣のナカで放つと余韻もそこそこにさっさと抜き出してしまった。その時丁度良い所を擦ったのだろう。再び反応し始めた正臣を見て鼻で笑う。

「あれ、もしかして感じちゃった?はは、正臣くんいーんらーん」
「っ・・・」
「そんな身体、俺とヤり始める前までどうしてたの?持て余しちゃってそこらへんの男でも引っ掛けてナカグチョグチョにして貰ってた?まあ、何でも良いけど、終わったんだから早くシャワー浴びて来なよ。もし君がシズちゃんだったら別に泊まって行っても構わないんだけどそうじゃないしね。もしシズちゃんが来たときに君が居て恋人とか思われたら困るんだよね。」
「・・・・・はい、お風呂借ります。」
「ごゆっくり。・・・・あーぁ、シズちゃんのナカってどんなんなんだろ。気になるなぁ・・・」

一言俯きながら返した正臣はヨロヨロとその部屋を後にする。
言いたい事だけ言った臨也は既に自分の世界に入ってしまっているらしい。自分の服の乱れを直し普段の折原臨也に戻り正臣の事などもう忘れたかのようにパソコンを立ち上げた。


一人シャワールームへと向かう正臣。

(腰痛い・・・いつもより臨也さん激しかったな・・・平和島さんと喧嘩でもしたのか・・・・?)

腰をかばいながらゆっくりと一歩一歩踏み出す。
一歩、一歩、と歩くたびに目頭が熱くなる。
そしてシャワールムにたどり着いたときには既に頬に一筋の涙が流れていた。

それに気づき急いで目元を拭うが、一度流れ始めると止まらないらしい。次から次へと溢れ出す涙。彼は声を立てずに泣いた。


夜中に突然臨也に呼び出されては人形を抱くかのように抱かれる。いつもの事だった。二人の間に愛などない。臨也は静雄が好きだ。しかし彼の思いは静雄には届かない、勿論肌を重ねる事も出来ない。だからその代わりに正臣を抱く。一見矛盾しているようだがこれが一番スマートだ、と臨也は判断した。彼がそう考えるのだから正しいのだろう。


正臣はそれを知っている。臨也が静雄が好きな事も、自分がただの性欲処理の道具だという事も。

そして、全てを知った上でこの話に乗った。彼は思ったのだ。自分を抱く事で一瞬でもこの人は自分の事を見てくれるのではないか、と。
そう、正臣は臨也が好きだ。しかしその恋が叶わない事など、百も承知だ。でももしかしたらこの人が自分を好きになってくれるかもしれない、と淡い期待を胸にするのは仕方のない事だ。だから今日も彼は抱かれる。例え相手が見ているのは自分ではなく、ここには居ない平和島静雄であったとしても。いつか見てくれると信じているから。

普段は身代わりの自分をまるで愛しているかのように扱う臨也。しかし今日は違った。ふとした瞬間に平和島静雄の話を持ち出してきた。

そしてその瞬間正臣は臨也の中の平和島静雄の大きさを知ってしまった。
どれだけ愛しているのか、どれだけ恋い焦がれているのか思い知らされた。

愛おしそうに「シズちゃん」と呼ぶ声に胸が握りつぶされそうになった。
自分を軽蔑するかのような目で見ているのを知ってしまった。

(なんで、)

次から次へと溢れる涙は止まる事を知らない。

(俺じゃ駄目なんですか・・・・っ!)


「こんなにもっ・・・・こんなにも好きなのにっ・・・・・」


シャワールームには彼の嗚咽だけが鳴り響いていた。ずっと、ずっと・・・・






不毛な関係


(どうか俺の事を愛してなんて思わない。だから、)(・・・・だから俺を見てください。)




W/H/Yを聞いたときに浮かんだ物なのです。
しかし泣けない件。おかしいな、原曲は泣けるのに・・・
臨也さんが好きなんだけど臨也さんはシズちゃんが好きで。でもどうしても好きだから嘘でも抱かれたくて承諾したのにその行為をすること事態が辛くなってきた正臣です。それにしても臨也が非道すぎる。うちの臨正ではなかなか無いですね、こんな感じ。臨正は暗いのは思いっきり暗いと良いと思います。

ちなみに今は読むの専門ですが臨静もかなり美味しいと思います。
いや、一番は正臣だけれども!!


100417



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