この恋、きみ色
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※短い


ふわり、

放課後教室で顔を伏せている幼馴染みの髪が舞う。
窓からは穏やかな風が入り込んでいて、春の優しさを具現化しているみたいだ。


そおっと近付くと小さな寝息。

「正臣」

小さく呼んでみるが、本格的に寝入ってしまっているようで全く目を醒まそうとしない。

(これだけ寝ているなら・・・)

と指先で頬っぺたをプニプニしてみる。


(うわぁっ・・・柔らかい)

次は、次は、と色々な部分を触ってみる。

正臣の身体はどこもかしこも柔らかかった。

そして、最後にたどり着いたのはフワフワと舞う髪。



そう言えば、と帝人は思い出す。

一度目の恋は確か初めて出会った日。公園で風に吹かれて舞う髪に構わず遊ぶ姿に恋をした。そして正臣はトテトテと駆け寄ってきて

「一緒に遊ぼ?おれはまさおみ!きみは?」

僕に爆弾を投下した。その時は男だと知って泣きそうになったっけ。すぐに終わった僕の初恋。

それから僕らはすぐに仲良くなって、毎日暗くなるまで遊んで。

でもそんな楽しい毎日は小学校四年生で終わった。正臣は僕にだけ別れを告げ東京に行ってしまった。

僕はいつしか恋心を忘れてしまっていた。

そして五年後、久しぶりに会った正臣は元々黒かった髪を黄に近い茶色に染めていて。でも何故か昔の・・・出会った頃の面影を残した微笑みが

「みーかどっ」

向けられた瞬間二度目の恋に落ちた。



目の前で漂う髪に手を伸ばす。指先に触れたそれは思ったよりも芯がしっかりしてて、でもやっぱり柔らかかった。

クリクリと指先で弄ぶ。指に馴染んだその髪は痛みなんて知らない、とでも言いたそうに生き生きしている。
何分、いや何時間こうしていたのだろうか。いつの間にか日は傾き始めている。


「んんんっ・・・・」

ゆっくりと目を開けた正臣はまだ覚醒しきれていない目でこちらを見やる。

「みかど・・・?」

舌ったらずなその声に誘われたかのようにゆっくりと顔を近づけた。



この恋、きみ色

(5年越しのこの想いが)(君に伝わると願って)



初恋もセカンドラブも正臣な帝人と、気付かない正臣もえ。
帝人→正臣ですが、なにしろ正臣は帝人ラブなんできっとすぐにくっつくと思います。
帝正は甘ければそれでいいです\(^o^)/←

100410



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