日だまりの中、零れた笑顔
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キーンコーンカーンコーン

「きりーつ、礼」

チャイムの音を聞き、先生がチョークを置いたときを見計らって号令をかける。
今日は園原さんが休みなのでお昼は僕と正臣の二人だ。

「みっかどー」
ドアの所で僕に向かって手を振っている紀田くんに、お待たせ、と声をかける。

「どこで食う?」
「屋上行こうよ。今日は天気も良いし。」
二人で並んで階段を昇る。僕の隣では正臣がこの前ナンパしたときの話をよくこんなに早く舌が回るな、と思うぐらいのスピードで語っている。

屋上へ続くドアを開けると太陽の柔らかい日差しに包まれた。

「あったけー」
すとん、とドアを開けたときにドア付近から死角になるような所に腰掛け自分の弁当を取り出す。僕もそれに倣い、正臣の正面に陣取った。春の暖かい日差しと風が心地良い。

モグモグと食べながらもまだこの前のナンパについて熱く語っている。
(面白くない。正臣は僕の物なのに。)
思いつつ視線をぱっと上げると、正臣の口許にはゴハンが一粒。

「〜でだな、俺はその時」
「正臣」
僕は膝立ちして正臣の顎を捉える。
「な、に」
「ご飯つぶ」
ペロッ
「なっ・・・!?」
「付いてたよ?」

目を白黒させている正臣の唇に吸い寄せられるように口づける。
「ん・・・ふぁ・・・・ぁむ・・・・・」
甘い声を漏らしながら僕のキスに必死に答えようとする正臣が愛おしい。僕のファーストキスの相手は正臣だから他の人とのキスなんて知らない。自分の好きなように正臣の中を犯していく。正臣の口の中か、それとも僕の口の中なのかが分からなくなるくらい求め合って、正臣の意識が朦朧としてきた頃を見計らって唇を離した。
「帝・・・人・・・」
「正臣可愛い。」
とろんとした目で僕を見つめてくる正臣に自分が制御出来ない。太陽の光に反射して光っている唇が妙に艶かしい。もう一度、と顔を近づけようとした瞬間、チャイムの音で正臣が現実に引き戻される。
「帝人!ここ学校・・・!!誰かに見られるかも・・・」
「今更だよ。それに、」
もう止められないよ。耳元でそう囁けばあ〜、とかう〜とか呻いて
「なら、しょうがないな。」
と自分に言い聞かせるように頷いた。その日最高の笑顔で。
そして、僕の首に腕をまわして



日だまりの中、零れた笑顔


(満足させてくれよな、帝人)




100330



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